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日比谷高校「東大・国医100名合格」開成高校超え独走へ【2022年】

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高校入試の怪物は「筑駒・開成よりも日比谷」2022年の日比谷高校が東大・国立医学部に100名の合格を出せた理由

2022年度の大学入試結果は関係者に衝撃を与えるものだった。都立日比谷高校が、東京大学に65名、国立医学部医学科に46名もの合格者を出し「東大・国立医学部に100名超え」のインパクトを残したからだ。首都圏で同等以上の実績を残す進学校は筑波大附属駒場と開成、桜蔭の3校のみ。この3校は別学校で、実績のほとんどを中高一貫生が出している。つまり、日比谷は高校受験組だけを集めた学校として日本唯一の超進学校になり、また共学校として日本最高峰になったことを意味する。2023年度の高校入試は、開成高校がいよいよ日比谷高校の完全な併願校になると見られている。その真相とは-。

 

2022年の日比谷高校の大学進学実績の全容

まずは日比谷高校の2022年度の大学合格実績を見てみよう。

東京大学 65名  京都大学 13名  一橋大学 9名  東京工業大学 7名  国公立医学部医学科 46名   超難関国立大学合計 140名

年を経るごとに上昇しており、2022年も近年最高値を更新した。およそ2人に1人が、世界大学ランキングの上位に位置付けられる超難関国立大+国立医学部医学科に進学する。

現役率も極めて高く、東大現役合格率は、中学受験御三家の麻布や、千葉の渋谷幕張を上回る。「6年制の私立中高一貫校よりも、3年制の日比谷のほうが現役率が高い」という従来の定説を覆す結果がここ数年続いている。

その他、材料科学の分野で世界一に位置付けられる東北大といった全国の旧帝大も含めて、国立大学進学者は約200名。全生徒の3人に2人に当たる。

医学部132名、慶應医7名合格の衝撃

実は今春、日比谷高校の意外な実績が注目を集めた。有名私立大学医学部医学科の合格実績だ。日比谷高校の私立大を含めた医学部医学科の合格実績はなんと132名で全国4位となった。ベスト15までの高校ランキングには、子供に医師を継がせたい親が入学させることで有名な私立中高一貫校がズラリと並ぶ。その中にただ一つだけ、中高一貫校ではない高校単独校である日比谷高校がランクインするのは異様だ。

「医学部界隈で信じられないと話題になったのが、今春の慶應義塾大学医学部の合格者ランキングです。慶應医学部は言わずと知られた私立医の最高峰。我が子を医者にしたい親が幼少期から多額の教育費をかけて目指します。そのランキングトップ5が、桜蔭、開成、筑駒、灘、日比谷でした。中高一貫校でもない、別学でもない学校が入るなんてとショックを受けている人も多い。」と関係者。

「高校受験からの合格は不可能」と断言して、幼少期からの医学部対策を煽ってきた一部塾業界にとって、日比谷の躍進は都合が悪い。逆に言えば、高校受験生からすると、日比谷高校にさえ入学できれば、あの慶應医学部も射程距離に入るようになる。高校受験組の可能性が大きく膨らむ結果だ。

進学実績はすでに「開成の高校入学組」を超えている

現状、日比谷高校と進学先で悩む高校は、筑波大附属駒場高校と開成高校の2校しかない。この2校と比較した場合の大学進学実績はどうか。

意外にも、日比谷高校の男子160名の東大現役進学率は、開成高校の高校入学組100名のそれを超えているようだ。3年前までは、日比谷男子と開成の高校入学組はほぼ同等とされてきたが、今春の実績を見る限りでは、日比谷のほうが確実に現役進学率は高い。東大の全体の合格者は8割が男子であるために、共学校の実績は実際よりも小さく見えやすい。

開成高校の主流派は旧高と呼ばれる中高一貫生だ。新高と呼ばれる高校入学組がわずか100名なのに対して、旧高は300名と規模が全く違う。2000年代初頭までは新高のほうが東大実績が良かった。しかし、日比谷、西、横浜翠嵐といった高校単独校を選択する生徒がぐんと増え、現在では新高の実績は以前と比べ落ちた。筑波大附属駒場は、わずか40名という狭き門なだけあって、東大現役進学率は日比谷男子をさらに上回る。単純なレベルの並びを示すと

筑駒の高校入学組>日比谷男子>開成の高校入学組

という順番になる。

大手塾の生徒も「開成は中学から入学する学校」という認識があるから、自ずとそれが反映された志望順位になる。大手塾の開成選抜クラスは、都内教室については日比谷第一志望の方が多い。開成必勝といった選抜クラスは「開成高校に合格したうえで日比谷進学を目指すクラス」と言い換えても良い。

高校入試の開成VS日比谷は、日比谷の独走状態へ。開成は募集停止あるか

開成高校の高校入試の低迷は、中学入試しか知らない者からすると意外だ。2021年度高校入試は、100名の募集枠に対して185名もの正規合格を出した。ここに繰り上げ合格も例年出しているが、入学者を100名集めることができずに定員割れの96名だった。一昔前からすると信じられない苦戦ぶりだ。

募集定員の倍の合格者を出しても定員割れを起こしてしまう開成高校入試。合格辞退者の最多進学先は、筑波大附属駒場を抜かして日比谷高校がトップだ。日比谷と筑駒の2校が突出して多く、さらに西、国立、浦和、横浜翠嵐、湘南が続く。東京でいえば、日本一の文化祭で有名な都立国立は行事好きが選ぶし、東京で最も自由な進学校とされる都立西高を好んで選ぶ受験生もいる。

早稲田アカデミー、SAPIXの合格体験記を見ると、日比谷高校進学者の合格先は開成高校が最も多いが、今春は筑駒の合格辞退が増えたのが特徴だ。筑駒の併願校化の動きは、日比谷高校が真の最高峰にいよいよ位置付けられてきたということだろう。

今春ですら数十人の開成高校合格者が日比谷を選択しているのだから、2022年は、100人程度の開成合格者が日比谷に流れ込む可能性が高い。開成高校としてはいよいよ高校入試の縮小や廃止を考えざるを得なくなるだろう。

もともと中学受験関係者の集まる掲示板で、「高校募集廃止論」や「競争の激しい中学受験の枠の拡大」を求める声があがっていた。中学入試の高校入試のアンバランスに拍車がかかれば、少数派の高校受験生がますます弱い立場になってしまう。それならば、思い切って高校募集を停止するというのが近年のトレンドだ。渋谷幕張が高校募集の停止を示唆していることから、数年以内の縮小や廃止も警戒しなければならない。

 

高校受験生は「3年間で完結する青春」を求めている

駿台模試で偏差値60以上の上位層の中学生に志望校選択の基準を聞くと「できるなら、中高一貫校の途中編入よりも、高校から全員一斉スタートの学校で青春したい」との声の高まりを感じる。

中高一貫校への途中入学の悲劇が盛んにマスメディアで伝えられたことも大きいように思う。2021年は、愛知県の難関私立男子校の東海高校に高校から途中編入した生徒が入学早々に生徒会に立候補したところ、内部生から空気が読めないと冷ややかに見られ、それらが原因で東大共テ刺傷事件を起こした。東京学芸大学附属高校では、男子生徒にセミの幼虫を舐めさせたり、体育祭の練習中に突き落として脳震盪を起こすなどの陰湿ないじめが問題になった。多数派を占める内進生が、一人の高入生をいじめるという構図だった。中高一貫校の主流派は中学から入学の内部生であり、高校から途中参加の生徒は傍流とされる。馴染めれば良いが、馴染めなければ地獄。部活動や生徒会、学校行事などの全般を中高一貫生が牛耳る。流されながら無難に過ごせるなら楽だが、決して主流にはなれない苦悩。高校受験生の選択が激変するきっかけとなった。

ある有名進学塾の先生がこう表現したという。

「中高一貫校に高校から入るのは、120分の映画をラスト60分だけ途中から見るものだ。それなら、60分の濃い映画を始めから見たほうが良い。」

もちろん、ラストシーンから見始めても映画は楽しめる。だが、そこに至るまでの様々な物語はすべて捨象される。真に楽しむためには、映画の最初から見るしか無い。それなら、60分の忙しくとも濃密な映画を最初から最後まで見たほうが良いという考えだ。

高校受験生が「中高一貫校の途中参加組という中途半端な存在ではなく、自分たちが主役になれる学校」を求める声が強まるほど、日比谷高校、都立西高校、都立国立高校のような高校単独のトップ校は輝きを増す。

130年続く日本最古の行事「勝浦臨海合宿」

西に赤坂のビジネス街を見下ろし、東に国会議事堂の偉容を望見する。日比谷高校は、そんな日本の政治経済の中枢に位置しながら、巷の喧噪からはへだてられた静かな環境にある。

夏目漱石、尾崎紅葉、幸田露伴、利根川進、谷崎潤一郎、横山大観といった錚々たる出身者の顔ぶれ。140年前から日本最高の名門校として君臨し続け、二・二六事件の一舞台にもなった日比谷は、まさに日本の近代から現代の歴史そのものといえる。

星稜祭で日比谷高校を訪れた際は、あえて通用門の右手の施設を訪れたい。蔦で覆われたお屋敷は、府立一中時代からの日比谷の歴史を辿る資料館だ。所狭しと並ぶ美術品や戦前からの史料の数々は歴史好きを虜にする。

圧倒的な歴史を感じる瞬間は高校生活において多々ある。夏の勝浦臨海合宿を紹介したい。日比谷高校で130年以上続く国内最古の遠泳行事だ。男子は水褌を身に纏い、古式泳法を学ぶもので、奇祭として知られる。希望者のみの参加にもかかわらず、多くの生徒が「一生で一度しか体験できない」と希望する。古式泳法を学べる学校は、国内では開成中学校や学習院中等部のみ。上記2校は中学から入学する中高一貫生だけが体験できる、高校からの入学組は参加が許されない特権行事だ。

「3年間で全力で青春し、学問に打ち込める環境」

確かに、6年制の中高一貫校と比べると忙しい。その3年間があまりにも濃密すぎるから。

しかし後悔はしない。3年間に、やりたいすべてのことができる環境がある。

高校受験生は決して傍流に非ず。主役は君たちだ、遠慮せずに自分を出せば良い。それが、日比谷高校である。

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