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東工大附属高校の東工大推薦が消滅!?

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東京工業大学附属科学技術高校が東工大推薦を取りやめ! 高校入試への影響大


2020年度に向けた高校入試で、大きく変化がありそうなのが、理系生徒に人気のある国立・東京工業大学附属科学技術高校(通称:東工大附属高校)です。

東工大附属高校を志望校として検討していた家庭の保護者から、以下のような書き込みがありました。

こんにちは。今日子供が体験入学に行き、もらってきた募集要項を見てショックを受けました。
高大連携特別入試が2022年の受験で終了するとのこと。
東工大附属に合格するかもわからず、そんな好成績を取れるわけもないのに、なぜか落ち込みます。うちの子の代から東工大に推薦で行けるチャンスがなくなる…って悲しくないですか?

確認したところ、東工大附属高校では、現中3生が大学受験を迎える2023年度より、東工大への特別推薦枠をすべて無くすことが明らかになりました。

高校受験生の間では大きなショックが広がっています。東工大附属高校にとって、大きな目標であって、一番の魅力が消えてしまうことになるからです。東工大附属高校の東工大推薦枠がどれだけのインパクトを持っているのかを確認します。

 

■ 3年間で38名が東工大へ現役進学が、ほぼゼロになる!?

東京工業大学は、日本国内では、全国で有数の難関国立大学の一つに数えられています。東京工業大学の学生の出身高校は、首都圏を中心とする有名進学校が並びます。

その東京工業大学に、特別に高大連携による特別推薦枠があったのが、東工大附属高校の一番の魅力でした。過去3年間の東工大附属高校から東工大への現役進学者数を見てみます。

2019年度  10名が進学

2018年度  13名が進学

2017年度  15名が進学

毎年12~13名程度の東工大への現役進学者が出ていますが、押さえておきたいポイントは、このほぼ全員が、東工大附属高校の東工大推薦による進学者だということ。例年、10名+αの枠が確保され、東工大に進学をしていました。

2019年は10名が特別推薦枠で東工大へ現役進学をしていますが、一般入試での合格者は一人もいません。

東工大の現役進学数は、全体の国公立大進学数の4分の1以上を占めていています。東工大附属高校から、この推薦枠が無くなるとダメージは大きそうです。

 

■ 一般入試での合格は難しい学校の特殊事情

「一般入試での合格を目指せば良いのではないか」と思われるかもしれませんが、東工大附属高校は進学校ではないため、一般入試での合格は茨の道。

3年間で、一般入試での有名国立大進学者はほとんどいません。地方や中堅の国公立大進学がやっとというのが現状です。

東工大への特別推薦枠がなくなった今、学校で上位の成績を維持していたとしても、塾や予備校で早期から一般進学校と同じような勉強をしてこないと、国公立大学への進学は厳しいと言えるでしょう。

 

■ 一般入試での合格は難しい学校の特殊事情

初年度費用 研究環境 大学進学 国立大実績 SSH指定
東工大附属 34万円 ★★★★☆ ★★☆☆☆ 40名 あり
都立戸山 13万円 ★★★☆☆ ★★★★★ 150名 あり
多摩科学技術 13万円 ★★★★★ ★★★☆☆ 50名 あり

東工大附属高校の第一志望者が、戸山高校や多摩科学技術高校といった理系進学に強い国立大学に移ると予想されます

一流の研究環境を得るためには、北大、東北大、東京大、東京工業大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大のいずれかを国立大学への進学をまずは目指します。東工大附属高校からは、東京工業大学への推薦枠による12名前後の進学がほぼ唯一の道で、これが絶たれると、ほぼゼロになります。

戸山高校はどうでしょうか。例年、東大だけで10名以上の合格を出し、難関国立大の進学者数は3年間で150名以上。理系学部への進学が突出して多く、戸山高校は、理系の難関国立大の進学ノウハウのある学校だと言えます。

また近年台頭してきている多摩科学技術高校は、東工大附属高校のライバル校です。SSH指定だけでなく、理系の実験設備は大学並みで、「高校としては日本国内で一番」との評判です。入学後に、先端技術4領域の専門分野に進みます。量子論や素粒子、工学を学ぶならナノテクノロジー領域。DNAや植物、細菌、生物を学ぶならバイオテクノロジー領域です。

これらの専門分野の学びをしながら、進学校として理系国公立大進学に向けた勉強を並行する点が、東工大附属高校と大きく異る点です。多摩科学技術は、進学指導推進校に指定されているため、定期的に日比谷高校や戸山高校といった有数の難関進学校の教員と提携をとり、大学入試の情報交換会を開いています。教員に関しても、難関進学校での在任経験のある者が多数在籍しているため、専門領域の勉強と、大学進学に向けた進学校向けの勉強が両立できることが強みです。結果として、多摩科学技術高校は創立以来、偏差値を10以上上げており、190名程度の少数精鋭の1学年から50名以上の国立大進学者を出すようになりました。東京大への推薦合格や、国立医学部の合格も初めて出しています。

東工大附属高校から志望校を変える生徒は、主にこの2校にバラけると予想されます。より難関国立大志向の強い生徒は戸山高校へ。専門分野の勉強と進学向けの勉強の両方を欲する生徒は多摩科学技術高校へ向かうでしょう。

また、戸山高校と多摩科学技術高校は、学費の面でもかなり優位であります。2校は都立高校ですから、入学金、授業料などの初年度費用がほとんど掛かりません。一方で、東工大附属高校は、私立高校よりは低額とはいえ、それなりの費用が掛かります。

■ 私立高校という選択は「ない」理由

東工大附属高校を避ける生徒たちは、戸山高校や多摩科学技術高校に流入するという予想がありました。では、私立高校への流入はどうでしょうか。

そもそも、東京都内で理系進学に強い私立高校は、ほとんどが高校募集がありません。また、高校募集がある学校であっても、大学進学実績を出している生徒は中高一貫生で、高校から入学しても実績が出ていないのが現状です。

皆さんもよく御存知の通り、首都圏の私立高校というのは、たとえ高校入試のあある学校であっても、大学進学の数字を残している生徒は、中学受験から入学した内部生によるものです。

例えば、東京農大一高という、高校入試の滑り止め校があります。理系の大学進学に強いイメージがあるため、検討する方もいるかもしれませんが、この学校の難関大進学はほとんどが中高一貫生です。

東大    内部生1名  高入生0名

北海道大  内部生2名 高入生0名

東京工業大 内部生2名 高入生1名

一橋大   内部生2名 高入生0名

早慶上智  内部生49名 高入生14名

ご覧の通り、見事なまでに中高一貫生が実績を稼いでいることが分かります。しかも実態としては、中高一貫生よりも高入生のほうが2倍の生徒数がいるのにです。

これだけの差が出てしまうのは複数の要因があります。まずは、私立中高一貫校というのは、限られた人員や資源を、中高一貫生に優先して投入する傾向があります。従って、同じ校舎の人間であっても、中高一貫生だけ実績が出がちです。また一般論として、中高一貫型の6年型カリキュラムと、高校から入学した生徒の3年型カリキュラムはまったく異なります。これらが混在してしまうと、結局、6年型カリキュラムを優先することになるため、高校入学の生徒の学力が伸びにくいと言われています。

実際に、東京都内の高校受験生に限れば、理系の難関大進学者のほとんどが、中高一貫校ではない都立高校の出身者で占められます。高校受験からだと、3年型のカリキュラムのノウハウがある都立高校でないと、国公立大の進学は極端に厳しくなってしまうのが現状です。

この点は、東工大附属高校は、中高一貫校ではないので、まだ東工大附属に魅力があると言えるのではないでしょうか。

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