■起死回生なるか 桐蔭学園(神奈川)が来年度より共学化へ

神奈川県の桐蔭学園が、来年度より共学校化すると内部生に通達がありました。創立以来の貫いてきた男女別学の教育を転換することになります。保護者には「中学校・高等学校・中等教育学校の再編成について」のお知らせが配布されています。改革のポイントは➀男女共学校化 ➁中等教育学校への一本化 ➂3コース制への転換 の三つです。順に説明していきます。

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■かつては東大100名も 大学合格実績低下が止まらぬ現実

「日本一の凋落校」と揶揄されるほど、桐蔭学園の大学合格実績の低下が顕著です。桐蔭学園にとって“栄光の時代”である90年代の中から1993年の難関大学合格実績を抜粋し、2017年と比較してみました。

東京大学   114名 →  2名
京都大学    16名 →  0名
東京工業大学 69名 →  3名
一橋大学    46名 →  5名
早稲田大学  344名 → 50名
慶應義塾大学 353名 → 37名

凋落した学校は数多くあれども、ここまで短期間に急速に凋落した学校は稀でしょう。2017年の1学年の卒業生数は894名。普通規模の公立高校の3倍のスケールですから、数字を3分の1するとリアルな桐蔭学園高校の今の実績が見えてきます。

  東大0名 京大0名 東京工業大1名 一橋大2名 早稲田大17名 慶應大12名

もはや復活著しい公立トップ校にはまったく及ばない寂しい数字です。マンモス校で面倒見が悪いというイメージも先行してしまい、公立2番手校、3番手校の滑り止めという地位にまで下がっていました。


■中等教育学校が孤軍奮闘・・・内進生と高入生の“完全隔離”へ

桐蔭学園にとっての唯一の希望の星が、2001年に開校した桐蔭学園中等教育学校の存在でした。中等教育学校は、新しく桐蔭学園の内部に新設された完全中高一貫校で、マンモス校のイメージを払拭した、1学年170名程度の少数精鋭学校です。法律上は従来の桐蔭学園とはまったく別の学校になります。2017年の大学合格実績を抜粋します。

  東大13名 京大0名 東京工業大3名 一橋大2名 早稲田大41名 慶應大35名

1学年の人数の少なさを考慮すると、なかなか健闘していることがわかります。従来型の桐蔭学園の凋落が止まらい状況のなか、少数精鋭の中等教育学校をエリート教育部門として切り離し、優秀な中学受験生を呼び込む方法は一定の成果を上げていました。

中等教育学校としての実績を出すために、桐蔭学園はグレーな手段も行使します。それは、従来型の中学校の優秀者や、高校入試で成績の優秀だった外進生を、中等教育学校に大量編入するという方法です。

これは、完全中高一貫校を理念とする中等教育学校の法的性格からは完全に逸脱しており、かなり問題のあるやり方であると言わざるを得ません。良くも悪くも、なりふり構わぬやり方で、凋落する桐蔭学園の中で孤軍奮闘の状態でした。

さて、今回の改革では、2019年度の新入生より、中学校が中等教育学校に吸収併合される形となり、中等教育学校に一本化されます。近年の中学受験生は、高校からの入学生と混じる学校を敬遠する動きがあります。ましてや、桐蔭学園のように高校から500名を超える外進生が入ってくる学校であればなおさら敬遠されます。

中等教育学校への一本化によって、内進生と高入生は完全に隔離されることになります。別学校扱いなので、部活動も別々の活動になります。内進生と高入生が完全に分離するという状態です。完全中高一貫校化を望んでいた中学受験生からは、共学校化も含めて一定の評価を受けそうです。


■従来の高校は3コース制に 中等一本化で地盤沈下の恐れも

中等教育学校の一本化より一足早い2018年度より高等学校でも改革が行われます。男女共学化と共に、現在の理数科・理数コース、普通科・普通コースを廃止。プログレスコース、アドバンストコース、スタンダードコースの3コース制に改編されます。

近年の中堅私立高校がやりがちな多様なコース設定によって幅広く受験生を集めようという戦略です。ただし、あまりにも陳腐な名称のコースであり、目新しさはありません。共学校化やコース設定は、すでにほとんどの中堅私立高校が実施していることで、この改革によって優秀な受験生が集まるかどうかは未知数です。

今後は、中学受験組の内進生が従来の高校に進学するというルートが絶たれますから、悪い見方をすれば、中等教育学校への一極集中が加速し、従来の高校がさらに地盤沈下する恐れがあるといえます。

ただ一方で、内進生と高入生の完全隔離によって、全員一斉スタートの学校生活を望む傾向の強い高校受験生の人気を集める可能性もあります。巨大な高校単独校が生まれることになります。今後の動向が注目されます。