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都立西高校、西高っていいよね

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■今なぜ、西高の教育が支持されるのか


杉並区の閑静な住宅街にあるのが、都立西高校。通称、西高。
2019年度の大学合格実績も、安定した実績を残し、長年都立高校を牽引してきた自負を感ずる結果であった。

・東京大学 19名
・京都大学 16名
・東京工業大学 12名
・一橋大学 11名
・国公立大学医学部医学科 15名
・旧帝大学(北大+東北大+名大+阪大+九州大)  35名
◎難関国立大学合計 108名
・早稲田大学 140名
・慶應義塾大学 88名
・上智大学 40名
・東京理科大 112名
◎早慶上理合計 380名

高校受験生と保護者のために、西高生の大まかな進路を説明しよう。最多進学先のベスト3は、1位:東京大学、2位:京都大学・北海道大学、3位:慶應義塾大学となっている。1学年の生徒数は約300名。うち約110名が難関国立大学に進学。70名が、お茶の水女子大、東京外国語大といったその他国立大学に進学。300名中、180名が国立大学に進学する。
それ以外の約120名は、ほぼ早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学が占める。ほか、私立大学医学部への進学者も、全国の公立高校の中では最も多い学校の一つだ。ちなみに、MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)の進学者数は、わずか4名にとどまる。中高一貫校と比べて、3年制の高校単独校は下位層が少なくなるようだ。

■東京芸大1名、京都大16名、北海道大19名からわかる西高の寛容さ

都立西高校は、懐が深い学校だ。進学校だから東大志向は強いが、決して特定の大学に誘導したりはしない。
その象徴が、京都大学16名進学だろう。当然彼らは、東大を目指せるだけの力があった生徒たち。それでも、「京都大学に行きたい」という生徒がいれば、それを受け入れ、応援する雰囲気がある。
西高の京都大学の進学者は、過去3年間でなんと41名。首都圏の高校の進学者数としては最大勢力だ。
東京都内だと、中学受験の御三家として知られる麻布高校も、京大進学者の多い学校だ(2019年は13名が進学)。西高と麻布の共通点は、懐が深い自由闊達な校風であること。あと、変人が多いというのもあるかもしれない(失礼)。ひょっとすると、京都大学の学風との共通性が高いのかもしれない。
「芸術界の東大」の異名がある東京芸術大学に合格するというのも、進学校としては異例中の異例だ。東京芸大といえば、合格は東大よりも難しいとされる超難関大学。
全国の進学校を調べたが、東大にこれだけ合格する一流進学校で、東京芸大に7年連続で進学者を出している学校は、西高のほか存在しなかった。
海外志向も強まっている。西高では毎年、海外大学への進学者を出している。アメリカなどのメジャーな国のみならず、ヨーロッパのチェコの大学の医学部へ進学した生徒もいたというから驚きだ。
考えても見てほしい。クラスメイトの中に、才気溢れる東大生がいる、あえて西へ旅立つ京大生がいる、医者の道を志した医学部生がいる、北の大地を目指した北大生がいる、芸術界の最高峰である芸大生がいる、海外へ飛び立った同士がいる。
こんなにもバラエティーに富んだ進学校が、いったい東京都内に、いや日本にあるだろうか。
西高という特異な校風が生んだ奇跡の進路。西高生は、あらゆる才知に恵まれた生涯の友を得るに違いない。

■西高は、気取らない。自然体で。

西高が好きだと公言する人は結構多い。それは、卒業生だからというわけではない。教育関係者や、我が子を通わす保護者までもが、気づけば西高ファンになっている。西高の、進学校なのに気取らず、自然体であることが、好感を呼ぶのだと思う。
入学式を終えた新入生を待ち受けるのは、怒濤の部活動勧誘。愛の泉から正門まで、熱烈な勧誘を受けるのだ。西高生活の、はじまり はじまり。


ドーン!
入学すると同時に、机に置かれているのが、西高の攻略本、西高のすべてが詰まっているといっても過言ではない、『飛翔』とよばれる情報誌。
卒業していった高3生が、まだ見ぬ新入生のために作られたもので、40年以上も生徒たちによって自主制作されているものだ。そのページ数は、なんと300ページ。これを熟読すれば、西高の先生、西高用語などを裏情報まで知ることができる。西高生のバイブルといえる書物だ。

■西高では、校長先生がダイブする

西高では、校長先生がダイブするらしい。
嘘のような、本当の話。

写真は、記念祭の閉会式の一コマだ。 「西高は、運動会などの生徒会行事はすべて生徒たちが自分たちでするので、校長といえども生徒の言う通りにしなければならない。西高の伝統で、校長は壇上からダイブします。日本の校長先生で、壇上からダイブする校長は自分ぐらいでしょう。」と嬉しそうに話す校長先生。ちなみに萩原校長は全国高等学校長協会という、日本全国の校長先生が集まる組織の会長をしている凄い方なのだ。そんな校長が、ダイブするのだから、西高、恐るべし。
西高生活を彩る学校行事の数々。まずは、記念祭。この玄人好みのポスターの秀逸さ。

記念祭での「つるばみ同好会」のライブ風景。

「軽音楽部とつるばみって何が違うの?」
西高初心者が抱く疑問の一つ。軽音楽部が固定メンバーでバンドを組むのに対して、つるばみは固定バンドを組まず、曲ごとにバンドを結成する。
軽音とつるばみ、二つの組織が共存共栄しているのが興味深いところだ。こんなところにも、西高らしさが溢れ出る。あなたは軽音派?つるばみ派?

■浪漫倶楽部という存在 西高の象徴である非公式の地下組織

西高には、非公式の秘密組織が存在する。
冗談のように聞こえるかもしれないが、本当である。
その名も、浪漫倶楽部

組織の起源は、1970年代に柔道部のメンバーらが密かに結成したのが始まりといわれている。現・東大法学部教授の高原明生氏らが創設メンバーであったとされる。社会風刺団体でもあり、電波少年的な体当たり企画や奇抜な企画を、映画上映などを通して世間に訴えている。
ワタナベエンターテインメント取締役の吉田雄生氏はインタビューで、「西高の浪漫倶楽部が、僕の転機だった」と話す。勉強ができるのは当たり前。エンターテイメント方面で輝こうと思った彼は、浪漫倶楽部での経験を基に、その後成功を収めている。浪漫倶楽部への入部は、「東大合格よりも難しい」とウワサされる。気になる人は、記念祭の映画上映へ足を運ぼう。

ちなみに、浪漫倶楽部のほかにも、秘密結社ベトリナという組織もある。「ベドリナ」とは、アルバニア語で「無駄」の意味。「青春とは、方向を間違えたエネルギーである」という理念のもと活動している。ただし、この組織は西高の公式サイトのサークル一覧に書かれており、完全な非公式組織ではない。
とはいえ、秘密結社のような不思議な団体が活動する西高っていったい……。

■文武二道を極める

西高の説明会へ行けば、必ず聞く言葉がある。
「文武二道」
文武両道とは言わない。二つの道を極める、という意味で、文武二道。
西高の運動部は強い。進学校であるのに、好成績を残している。アメリカンフットボール部を紹介したい。

東日本における高校アメフトは、西高が発祥の地だ。
第二次世界大戦後に、当時の平山清太郎先生が創部したのがはじまり。チーム名は「OWLS」。知恵を象徴するフクロウがマスコットだ。以来、60年以上の歴史の中で、幾多の名選手や指導者を輩出してきた。中でも、京都大学のアメフト部への輩出数の多さは有名で、西高アメフト部→京大アメフト部の伝統が連綿と続いている。
今年、六大学野球で「都立西高校」の名がよく聞かれた。西高出身の桐生祥汰選手(東大経済学部)が、東大として23季ぶりにベストナインに選ばれたのだ。

中学時代は武蔵府中シニアに所属。西高時代は1年夏よりセカンドレギュラー。 高3夏から1日10時間以上の猛勉強で、現役で東大合格した。西高が誇る文武二道の実践者だ。

■西高の新しい試み アメリカ研修

西高の良さは、伝統を受け継ぎつつも、新しい試みを柔軟に取り入れていく姿勢があるところだと思う。2年前から、海外リーダーシッププログラムを他校に先駆けて実施している。
希望者40人の西高生が、アメリカのハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の講義を体験したり、現地学生と交流したりディスカッションをする。また、ニューヨークで西高を卒業し現地で活躍する方々と交流したり、国連本部などを見学するという、壮大な体験だ。

ハーバード大学で平和に関する講義を受ける西高生。

西高には、アメリカ支部の同窓会組織がある。世界中に同窓会組織があり、同窓生が活躍しているのは心強い。写真は、ニューヨークでの同窓生との交流会。「私たちも、昔は西高生だった。

■西高は、高校入学の生徒が気取らない学校生活を送る最後の進学校

都立西高校のぶれない教育が今、改めて評価されている。
周りの進学校が次々と中高一貫校化して、高校募集を減らしたり停止する中で、西高はずっと、高校受験生のための学校であり続けている。
仮に西高が中高一貫校になってしまったら、独自の校風は消え失せ、そこらへんにある普通の進学校と同じになり、均質化されてしまうだろう。西高の校風は、高校から始まる3年制であるからこそ続いているのだ。
西高の先生は語る。「西高の良さは、だれにでも居場所があることです。運動が得意な人、苦手な人、オタクな人、行事に熱心な人、自分の趣味に没頭する人、それぞれを尊重します。
東京都内で、高校受験を経て入学する生徒たちが、変に気取らず、自然体で高校生活を送れる学校というのは、そう多くない。進学校に限定すれば、もはや都内には、西高ぐらいしか残されていないという事実に気付く。
かつては、西高のような学校が、もっとあった気がする。今は中高一貫校ブームで、西高が唯一の存在。最後の砦だ。
西高に異動した先生が「まだこのような学校が都内に残っていたとは。」と感動したという話を思い出した。西高の灯を消してはならぬ。西高はいつまでも、西高でいてほしい。周りのすべての進学校が中高一貫校になっても、西高だけは抗う存在であってほしい。

■2020年度の高校受験生が西高を選ぶべき理由

ところで、2020年度の高校受験生は、ぜひ西高を選ぶべきだと考える。というのも、大学入試の新制度が、西高の入試そっくりに変わるからだ。新大学入試制度では、英語重視と、記述問題の導入がメインだ。英語重視の方針でいえば、西高をはじめ都立トップ校の生徒は英語力がずば抜けて高い。それは、中学受験生が英語で苦労する中で、西高受験者は、高校受験の勉強で英語をしっかりと体系的に学ぶ(しかも、西高受験者は、開成や早慶レベルまで併願対策で学んでいる人が多い)から、高校入学後も強いのだ。西高には豊富な英語プログラムがあり、高校入試を経て身につけた高度な英語力をさらに磨く環境がある。西高のセンター試験の英語平均点が全国トップクラスなのがその証拠だ。つまり、新大学入試の英語重視の方針は、そのまま西高に追い風となる。

さらに、記述問題の導入は、西高の自校作成問題の対策をしていた人間からすると、正直「それでも少ないよ」という感想なようだ。西高の入試問題は書かせる問題が多いから、大学入試で記述問題が出ると言っても、誰も臆病になる者はいない。しかし世間の大半では、記号問題ばかりをやってきた生徒が多いから、極端に敬遠される。西高受験者にとって、これも追い風でしかない。

おまけに、現中3世代は、小6生の頃に中学受験界で「大学入試が読めない」ということで、極端な大学附属志向が起きた年で、従来なら進学校から東大などの難関国立大に進学していた生徒が、大量に早慶附属へ進学している。大学受験で首都圏のライバルとなる生徒たちが、この世代は少なくなるのだ。国立大学を目指す上では、好条件が揃っている。その上で、現中3生は、西高という唯一無二の学校を、選ぶか、選ばないか……最後は自分次第である。進路は、自分から切り開くものだからだ。



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