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穎明館中学校が偏差値下落ワースト1位の真相

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穎明館 偏差値下落がなぜ止まらない?

「多摩地区の進学校系の私立中学校の凋落が止まらない―。」


中学受験関係者から聞こえてくる声は、多摩地区における私立進学校の没落を嘆く声…。「多摩地区のトップ進学校は、都立国立と都立武蔵になり、私立中学が消滅してしまった」というのです。東京都内で中学受験が盛り上がっているといっても、それは23区内での話。多摩地区は今も「高校受験から都立進学校や有名大学附属高校」というルートが健在です。

それどころか、多摩地区の私立中学の大学合格実績が悪化する一方なようで、その象徴ともいえるのが、かつて多摩の雄として存在感のあった桐朋高校の凋落ぶり。かつて東大に60名以上合格させていた桐朋高校は、2017年度にはついに現役の東大合格数が1名だけという惨状に。入試関係者が「桐蔭学園以来の大凋落」と称するほどの転落です。

しかし、マズい状況にあるのは桐朋中学校だけではないようで……。首都圏模試の偏差値の推移から見えてきたのは、八王子市のある共学私立中学校のとんでもない下落ぶりでした。

■偏差値の下落が全国最悪の暴落 穎明館中学の惨状

今から示すデータは、大手進学塾やマスメディアでは決して報じられない「5年間の偏差値下落ワーストランキング」になります。マスメディアでは、「偏差値の上昇した中学」や「大学進学実績が伸びている学校」ばかりを取り上げて、このような負のランキングは見せません。じっくり見てみましょう。

■男子偏差値下落ワースト5校
1位:穎明館中学校     -6
1位:城北埼玉中学校   -6
1位:城西川越中学校   -6
4位:桐蔭学園中学校   -5
5位:独協中学校     -2

■女子偏差値下落ワースト5校
1位:穎明館中学校    -6
2位:江戸川女子中学校  -4
2位:東京純心女子中学校  -4
4位:晃華学園中学校    -3
4位:明大付属明治中学校  -3

5年間の偏差値下落数のワーストは、男子・女子共に穎明館中学校という結果になりました。多摩地区においては、桐朋中学校に次ぐ2番手私立中学というイメージですが、近年は桐朋中学校の凋落によって同じ土俵で語られることも多くなったといいます。

そんな穎明館中学校が、なぜ偏差値が下がってしまったのでしょうか。真相を解き明かします。

■南多摩中と相模原中の台頭が直撃 上位~中上位層は両校へ進学

穎明館中学校の偏差値大幅下落の原因として最も聞かれたのが、競合近隣校に成績上位層~中上位層が根こそぎ奪われてしまったというものでした。

その学校とは、神奈川県の相模原中等教育学校と、東京都の南多摩中等教育学校です。多摩地区に在住の中学受験志向の家庭で、かつて穎明館中学校に進学していた層が、年々に相模原中と南多摩中に流れるようになってきています。

相模原中等教育学校と南多摩中等教育学校は、学費が6年間無償にもかかわらず、私立中学と同様の検定外教科書や副教材を使用し、中学3年時には高校内容に突入するなどの先取り型カリキュラム。しかも、先進校を積極的に研究をするなど改革熱心。教員団についても「例えば、南多摩中等教育学校は、都内の中・高3万人の教員の中から独自の公募選抜で優秀な教員を集めていて、一般的な私立中より恵まれている。」ということで評判が良いのです。

私立中学受験組が、相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校の評判を聞いて次々と第一志望校を変更。その結果、穎明館中学校は、成績上位層~中上位層にとって選ばれない学校になってしまったというのが真相なようです。

■大学合格実績は相模原中と南多摩中の圧勝 穎明館は全項目で最下位

大学合格実績を比較してみても、穎明館中学校は、中高一貫校化したばかりの相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校に完全に勝てなくなりました。

以下は2018年春の大学合格実績です。ポイントは浪人合格をのぞいた現役生のみの数字という点。学校の大学進学力がありのままにわかります。

■東京大学
相模原8名 南多摩5名 穎明館0名

■一橋大学
南多摩4名 相模原2名 穎明館0名

■東京工業大学
相模原5名 南多摩2名 穎明館1名

■国公立大学合計数
相模原60名 南多摩49名 穎明館26名

■早稲田大+慶應大+上智大合計数
南多摩91名 相模原73名 穎明館43名

ご覧のように、東大、京大、一橋大、東工大、国公立大、早慶上智、全ての項目において穎明館中学校は最下位です。難関国立大学はすべて相模原中等教育学校と南多摩中等教育学校が上回りました。さらに、国立大学の合計数や、難関私大である早慶上智の合計数も2校が上回ります。学力上位層が穎明館から消えただけでなく、学力中位層のボリュームゾーンも、穎明館が先細りになり、相模原や南多摩が分厚いことが分かります。ちなみに、5年前までは、全項目において穎明館がトップでした

さらに注目したいのは1学年の生徒数。3校とも少人数制の学校ですが、1学年の生徒数は、南多摩中160名、相模原中160名に対して、穎明館中190名ですから、現役合格「率」に換算すればさらに差が開きます。現状であっても、ここまで大学合格実績に差がついてしまうのです。

■穎明館中学校に入学した頃とは別の学校の実績に・・・

ほんの5年前の穎明館中学校の大学合格実績は別物でした。2013年の大学合格実績が5年間でどう推移したかを比較してみます。(すべて現役のみ)

東京大 4名 → 0名

京都大 1名 → 0名

東工大 3名 → 1名

一橋大 4名 → 0名

国公立大 57名 → 26名

早稲田大 57名 → 30名

慶應大 49名 → 9名

上智大 35名 → 4名

 

この頃に穎明館中学校に入学した世代からすれば、「6年間でまるで別の学校になったように大学進学実績が下落してしまった」と思うことでしょう。2013年頃に穎明館中学校から難関大に合格した学力上位層は、今では、南多摩中、相模原中、都立武蔵中、さらには高校受験を選択して八王子東高や都立国立高へ進学していると予想されます。

これが、偏差値の下落や周辺競合校の躍進による環境変動リスクの恐怖です。「真ん中より上にいれば国立大や早慶上智を狙えるかな」「上位10%に入れば東大や一橋大も目指せるかな」といった現状の実績を踏まえて入学しても、穎明館のようにあまりにも偏差値の変動が激しいと、たった6年間で別物の実績になってしまうのです。

これが、どんどん伸びている学校であったり、安定的に大学進学実績を出している名門校であれば、あまりそのリスクはないのですが、穎明館のような新興の学校は、まだまだ立場が不安定で、固定ファンがいないため、株価の乱高下のような状況が起きやすくなります。

■現小6が大学受験を迎える7年後は、大学合格実績で大差がつく理由

大切なことは、穎明館中学校の大学合格実績の暴落は、日能研の結果偏差値が「54→50」に下がった影響によるものということ。現在の大学合格実績は、偏差値50の世代が残したものです。ですから、まだまだ国公立大や早慶上智に合格を出しています。

次なる備えは、日能研の結果偏差値が「50→44」に下がった影響による大学合格実績の暴落です。単純に考えて、偏差値50前後がボリュームゾーンだった入学者の学力が、偏差値40台前半がボリュームゾーンに変化するのですから、最初の暴落よりもはるかに厳しい、厳しい変化です。

入学者偏差値が44になると、大学合格実績はどうなるのでしょうか。偏差値帯と生徒数が同じくらいの多摩地区の私立中学共学校、東京電機大学中学校の大学合格実績を見れば予想できるはずです。(すべて現役合格のみ)

国公立大 9名

早慶上智 6名

MARCH 40名

日東駒専+成成武明学 50名

東京電機大学中学校の日能研偏差値は44で、1学年の生徒数は225名ですから、偏差値44世代を迎える穎明館中学校の将来の大学合格実績の目安となりそうです。

この学力レベルになると、国公立大の合格は1桁に。早慶上智もほとんど受かりません。重複合格を考慮すると、トップ層の数名が国公立大か早慶上智に進学し、上位10%程度がMARCHになんとか進学。真ん中より上で日東駒専に滑り込むという感じでしょう。

穎明館中学校に入学する場合は、将来的にはこの程度の大学合格実績に落ち着くことを考慮して進学選択をするべきです。

穎明館中学校の掲示板や口コミサイトを見ていると、近年の大学合格実績の低迷を、授業の質の低さやカリキュラムの悪さだと批判する声が見られます。しかし、本当にそうでしょうか。

穎明館が東大に多く合格を出していた黄金時代と比べて、授業の質やカリキュラムが大きく劣化するとは思えません。学校を批判するのは筋違いです。大学合格実績が下がったのは、単純に入学者偏差値が「54→50」に暴落したからです。入学者の学力層が下がれば、大学合格実績が下落するのは当然の成り行きです。

穎明館の受験を希望する保護者や生徒は、穎明館の大学合格実績は今後下がり続け、上記で示した東京電機大学中学校と同じくらいの水準になるという将来像を踏まえて、入学を志願するべきです

そうでないと、「我が子が入学してから、穎明館の進学実績は下がり続けている。学校の教育がおかしいからだ!」というモンスターペアレンツのような親が出現しかねません。学校にとってそれは、あまりにも気の毒すぎます。偏差値がさらに「50→44」に下がるのですから、どんなカリスマ先生が教えたって、大学進学実績は大きく下がります。一生懸命に勉強させても、です。

■多摩地区は10年間で私立優位から都立優位に変わった

多摩地区の中学受験における最難関校はどこでしょうか。かつての桐朋中学校が中堅校にまで転落してしまった今、最難関と称される学校は、早稲田実業学校中等部と、都立武蔵高校附属中学校の2校です。

都立武蔵高校附属中学校の大学合格実績の躍進は目を見張るものがあり、中高一貫生120名の精鋭集団から、東大8名、京大3名、東工大6名、一橋大13名、国立医学部6名など高い実績を出しています。通常規模校でいえば、東大24名合格と同等ですから、中学受験の多摩地区のトップ層は都立武蔵で決まりでしょう。

都立武蔵が多摩地区の首位の進学校になった証左として、国際学術五輪での近年の目覚ましい活躍が挙げられます。国際数学オリンピックでは、開成高校、筑波大附属駒場高校、灘高校の3校と並んで、都立武蔵高校の生徒がメダル受賞者を出したニュースをテレビや新聞でご覧になった方も多いのではないでしょうか。翌年には国際地学五輪でも日本代表選手を輩出するなど、明らかに多摩地区の天才肌の生徒が入学する学校になっています。

昔であれば、おそらく桐朋中学校から出ていた生徒のはずです。ところが、桐朋が中堅校に転落した結果、都立武蔵が今の多摩地区の最上位層が入学する学校になったというわけです。時代が変われば、成績優秀層の入学先も変わるということです。

ちなみに、多摩地区は高校入試が断然優位な地域です。多摩地区の東大合格者数のトップは、高校入試しかない都立国立高校です。例年、東大合格者を20名前後出すだけでなく、一橋大合格者数は毎年日本一になる学校です。「日本一の高校文化祭」としても有名な学校ですね。

穎明館のすぐ近くには、多摩地区の都立2番手校の八王子東高校があります。2番手校ながら、東大7名、京大2名、東工大11名など難関国立大の実績は好調で、国公立大に150名の合格を出しています。穎明館に進学するなら、高校受験から都立国立高校や早稲田実業を目指して、ダメでも2番手校の八王子東高校に進学すれば、十分だと言うこともできます。

これが多摩地区の進学校状況を如実に表しているように思います。多摩地区は都立進学校の選択肢が非常に多くて、都立トップ校である都立西高校日比谷高校への通学も高校生にもなれば容易なため、「わざわざ中学受験しなくても、高校受験で十分。」「中学受験で第一志望がダメなら、滑り止め中よりも高校受験。」という家庭が増えているのも近年の特徴です。

穎明館中学校や桐朋中学校に代表されるように元気がない多摩地区私学ですが、大学附属校は百花繚乱の大激戦地区です。国分寺に移転した早稲田実業学校を頂点として、明治大学や中央大学といった有名私立大の附属校が軒を連ねます。

もっとも、大学附属校は「中学受験よりも高校受験のほうがはるかに入学しやすい」(多摩地区進学塾談)というのは常識で、大学附属校にこだわるなら、わざわざ中学受験する必要もなさそうです。

 

■偏差値データを踏まえ7年後の大学合格実績を大予想

多摩地区の中学募集のある進学校の大学合格実績はどう変化していくのでしょうか。日能研、四谷大塚、SAPIX、首都圏模試の統計データを基に、各校の進路実績の特徴を踏まえ、現小学6年生が大学受験を迎えたイメージで数字を予想してみました。(※数字は浪人合格も込みで予想しています)

●都立武蔵高校附属中学校
東京大16名 一橋大8名 東京工業大8名 国立大110名

●相模原中等教育学校
東京大10名 一橋大4名 東京工業大10名 国立大80名

●南多摩中等教育学校
東京大8名 一橋大5名 東京工業大8名 国立大60名

○桐朋中学校
東京大1名 一橋大3名 東京工業大2名 国立大80名

○穎明館中学校
東京大0名 一橋大0名 東京工業大1名 国立大20名

今後最も厳しいのは桐朋中学校で、大方の受験関係者の予想通り、まだまだ大学合格実績の凋落は続きそうです。中学入試の入学者の東大合格者数がゼロだったことを踏まえると、東大合格者がゼロになるのも時間の問題かもしれません。

台風の目となりそうなのは都立武蔵高校附属中学校で、2021年度からの高校募集停止による完全中高一貫校化もあって、まだまだ実績は伸びそう。区部の御三家中との併願も多く、優秀な生徒の入学が増えています。中学入試においては不動のナンバー1を確立しそう。

穎明館中学校は、偏差値の推移を踏まえると、難関国立大はかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。現実的には、MARCHに進学することが目標の学校というイメージでしょう。

穎明館中学校の緑豊かな環境は変わりませんから、偏差値が下がったことで、今まで入学できなかった層がたくさん入学できるようになります。その意味で、熱望組にとってはチャンスが広がったと捉えることもできますね。

当たり前ですが、学校の魅力は偏差値だけでは測れません。偏差値は学校選択の様々な尺度のうちの一つ。上述の通り、穎明館中学校の偏差値急落の真相は、近隣の競合中学校の躍進の煽りを受けたもので、穎明館中学校自体の魅力が落ちたというわけではないでしょう。熟考したうえで、中学受験するのかしないのか、第一志望をどこにするのか、第一志望がダメなら、滑り止め校でも入学するのか、そうでないのかを判断したいですね。



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