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東京学芸大学附属高校、土曜授業復活の愚

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■東京学芸大学附属高校が突然の土曜日授業復活宣言で生徒反発

 なぜ今、突然に!?

東京学芸大学附属高校(世田谷区)が、入学前の生徒たちへの予告なく、突然に土曜日授業の復活を宣言。土日は休日として入学してきた生徒たちからしたら、「こんなはずでは」と困惑や反発も。なぜ、こんな事態になったのでしょうか。

東京学芸大学附属高校によると、「総合の授業時間数を確保し、より充実させるため」だと言います。総合の授業とは、正式名称は「総合的な学習の時間」のこと。生徒が自発的に、科目横断的に学ぶ時間をつくろうということで、かつてのゆとり教育の目玉として設置されたものです。

現在、進学校では総合学習の時間はあまり重視されていないのが現状ですが、東京学芸大学附属高校は国立ですから、文部科学省の意向を忠実に守っている点は、評価してもいいかもしれません。

ところが、生徒たちは5日制であることを前提に入学してきたから大問題。「総合の時間を充実させる」という名目での土曜日授業復活に対して附高生は、「意味のない土曜日授業」「土曜日授業あること知っていたら附高に入学しなかったのに……」と不満を吐露しています。

 

■自らの首を絞める土曜日授業の導入…「ますます大学受験に不利に」

確かに、土曜日授業を復活させる高校は増えています。私立高校は多くが週6日制ですし、都立高校でも進学校は7割以上が土曜日授業を復活させています。入学前の予告がなかったとはいえ、土曜日授業自体は良いのではないかと思うかもしれません。

ただし、東京学芸大学附属高校が土曜日授業を復活させたのは、他校と理由がまったく異なります。私立や都立の進学校は、難化する国立大学進学に対応するために、地歴公民理の主要教科のコマ数を増やし、進度を早めて実践的な入試演習の時間を確保するという意図のもと、土曜日授業を復活させました。

ところが、東京学芸大学附属高校は、「総合時間の充実のため」というのが理由です。土曜日授業が復活したから、その分、今まで進度の遅かった数学を他校並みに早めるとか、国公立大学受験に対応するためというわけではありません。今までも十分に、東京学芸大学附属高校は総合学習の活動が先進的でした。これ以上に増やしても、意味のある授業コマの増加であるとは思えないのです。

■学力トップ層の中学生が望むのは「高校単独校」と「土日の自由」

将来、東京大学や医学部進学を希望する学力トップ層の高校入試のトレンドは二つ。中高一貫校ではない高校単独校志向と、過度に授業で拘束を受けず、土日は生徒の自主性に任される週5日制の進学校が人気です。

学力トップクラスの生徒というのは、土曜日に授業を強制されなくても、自主的に勉強ができますし、土日は個々の自由に任される環境を望みます。

高校入試からの生徒で東大に進学者を多く出す学校として、東京の都立日比谷高校と、神奈川の横浜翠嵐高校が引き合いに出されます。2校とも、土曜日は生徒の自主性を重んじて、あえて土曜日授業を実施していません。

日比谷高校は、土曜日授業のない代わりに、希望制の土曜講習を実施。予備校に通う代わりに参加しても良し、予備校で勉強したい人はそれでも良し、外部の習い事や趣味に打ち込みたい人はそれでも良し。土曜日の使い方は、それぞれの判断に任されています。

学力トップ層にとっては、土日のゆとりがあるほうが学力が伸びやすいようで、事実、今春の大学進学実績で、日比谷高校は東京学芸大学附属高校を東大合格率、東大現役合格率の双方で上回りました。東京ではすでに、「第一志望:日比谷、第二志望:学芸大附属」という組み合わせが主流になっています。

横浜翠嵐高校も、土曜日は希望性の補習や講習を実施し、強制的な土曜日授業は行っていません。その結果、大学進学実績は大きく伸びて、今春の現役東大合格者数18名と、学芸大附属26名との差がなくなってきました。数年以内に、日比谷と同様に翠嵐が追い抜くと予想されます。

 東京学芸大学附属高校は、近年高校受験生から、内進生の多い環境が嫌われ、合格しても蹴られることが多くなってきました。

下記は高校入学の生徒のあるTwitterの投稿ですが、小学校からの持ち上がりもいる特殊環境に、馴染めない生徒も一定数出てきてしまうわけです。

 

内進生が存在しない、高校単独校を強く望む声が中学生から高まっているうえに、総合学習強化という目的による土曜日授業の導入という、中学生の志向に相反する改革を続けると、2017年度の入試以降、ますます東京学芸大学附属高校の凋落が進む恐れがあります。

 

■「土曜授業があるなら附高はやめる」中3生の受験動向に早速変化

東京学芸大学附属高校の生徒の意向を汲まない土曜日授業の復活に対して、敏感に反応したのは附属中学校の生徒たちでした。

SNSなどで情報が拡散し、「土日は部活動、勉強、趣味に自由に使える時間が好きなのに…」「土曜日授業があるとわかったので、附高進学はやめて日比谷か西を目指すことにした」といった書き込みが相次ぎました。

三つの附属中学校のある東京都内では、わざわざ東京学芸大学附属高校に内部進学しなくても、大学進学実績で拮抗する日比谷高校や西高校といった都立トップ校が存在します。ここ数年は、内部進学を蹴って都立トップ校を選ぶ生徒がどんどん増えてきました。

日比谷高校の内部資料である出身中学一覧は衝撃的で、東京学芸大学附属世田谷中学校、東京学芸大学附属竹早中学校がトップを独占。内部進学を蹴って日比谷を目指すルートが確立してきたのです。

しかも、今春はついに、日比谷高校が東大合格率で東京学芸大学附属高校を上回り、現役率で絞るとさらに差がつくほど実績の差が出てきましたから、東大、医学部志向の強い生徒は、一層に日比谷や西を目指す動きが拡大するとみられています。

3年後の予想進学実績は、日比谷高校が東大70名前後。対して東京学芸大学附属高校は、中学入試と高校入試の人気低下をダブルで受け、東大40名を切るとみられています。

人気低下に対する学校の対応は小手先で、附属中生の内部進学試験を別日にすることで、都立トップ校への流出を防ごうとする状態。

もちろん、優秀な生徒は、もっと学校の本質的な中身を見て決めていますから、入試日程の移動ぐらいで、都立トップ校への流出は防げないでしょう。

内進生向けの進学塾によると、現中3は志向が大きく変化しているといい、「附属中→都立トップ校」が新しいルートとして主流になりそうです。

また、外部生も「土曜授業導入」はマイナスのイメージが強く、特に神奈川の高校受験生は、東京学芸大学附属高校よりも横浜翠嵐高校を選ぶ生徒が一気に増えます。3年後の東大の進学実績にも影響を与えそうです。

 

 


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