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穎明館中学校 止まらない偏差値の下落の真相は?

「多摩地区の進学校系の私立中学校の凋落が止まらない―。」

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中学受験関係者から聞こえてくる声は、多摩地区における私立進学校の没落が加速しているというもの。その象徴ともいえるのが、かつて多摩の雄として存在感のあった桐朋高校の凋落でしょう。2017年度はついに、現役の東大合格者数が1名だけという低迷ぶり。「桐蔭学園以来の大凋落」と教育関係者が称するほどの転落です。

しかし、マズい状況にあるのは桐朋中学校だけではないようで……。首都圏模試の偏差値の推移から見えてきたのは、八王子市のある共学私立中学校のとんでもない下落ぶりでした。


■男子偏差値下落ワースト5校
1位:穎明館中学校     -6
1位:城北埼玉中学校   -6
1位:城西川越中学校   -6
4位:桐蔭学園中学校   -5
5位:独協中学校     -2

■女子偏差値下落ワースト5校
1位:穎明館中学校    -6
2位:江戸川女子中学校  -4
2位:東京純心女子中学校  -4
4位:晃華学園中学校    -3
4位:明大付属明治中学校  -3



5年間の偏差値下落数のワーストは、男子・女子共に穎明館中学校という結果に。多摩地区においては、桐朋中学校に次ぐ2番手私立中学というイメージですが、近年は桐朋中学校の凋落によって同じ土俵で語られることも多くなったといいます。

そんな穎明館中学校が、なぜ偏差値が下がってしまったのでしょうか。真相を解き明かします。

■南多摩中と相模原中の台頭が直撃 上位~中上位層は両校へ進学

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穎明館中学校の偏差値大幅下落の原因として最も聞かれたのが、競合近隣校に成績上位層~中上位層が根こそぎ奪われてしまったというものでした。

その学校とは、神奈川県の相模原中等教育学校と、東京都の南多摩中等教育学校です。多摩地区に在住の中学受験志向の家庭で、かつて穎明館中学校に進学していた層が、年々に相模原中と南多摩中に流れるようになってきています。

相模原中等教育学校と南多摩中等教育学校は、学費が6年間無償にもかかわらず、私立中学と同様の検定外教科書や副教材を使用し、中学3年時には高校内容に突入するなどの先取り型カリキュラム。しかも、先進校を積極的に研究をするなど改革熱心。教員団についても「例えば、南多摩中等教育学校は、都内の中・高3万人の教員の中から独自の公募選抜で優秀な教員を集めていて、一般的な私立中より恵まれている。」ということで評判が良いのです。

私立中学受験組が、相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校の評判を聞いて次々と第一志望校を変更。その結果、穎明館中学校は、成績上位層~中上位層にとって選ばれない学校になってしまったというのが真相なようです。

■大学合格実績は相模原中と南多摩中の圧勝 穎明館は全項目で最下位

大学合格実績を比較してみても、穎明館中学校は、まだ2期生しか輩出していない相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校に完全に勝てなくなりました。

以下は2017年春の最新の大学合格実績です。ポイントは浪人合格をのぞいた現役生のみの数字という点。学校の大学進学力がありのままにわかります。


■東京大学
相模原6名 南多摩3名 穎明館2名

■一橋大学
南多摩4名 相模原2名 穎明館1名

■東京工業大学
相模原8名 南多摩4名 穎明館3名


■国公立大学合計数
相模原57名 南多摩41名 穎明館34名


■早稲田大+慶應大合計数
相模原60名 南多摩40名 穎明館29名



ご覧のように、難関国立大学はすべて相模原中等教育学校と南多摩中等教育学校が上回りました。さらに、国立大学の合計数や、難関私大である早慶大の合計数も2校が上回ります。

1学年の生徒数は、南多摩中150名、相模原中160名、穎明館中180名ですから、現役合格「率」に換算すればさらに差が開きます。現状であっても、ここまで大学合格実績に差がついてしまうのです。


■現小6が大学受験を迎える7年後は、大学合格実績で大差がつく理由

大切なことは、この大学合格実績はまだ、相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校の2期生の実績であって、穎明館中学校がまだ偏差値の高かった世代の出したものだということ。

相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校の教育力や学校力が本物だと世間に周知されるようになり、この2校はここ数年で成績上位層の入学が急増しています。

その成績上位層は、かつてなら桐朋中学校や頴明館中学校に進学して、東大や東工大といった国立大学や早慶大に合格していた層です。彼らが桐朋中学校や穎明館中学校を選ばなくなって、相模原中や南多摩中を選ぶようになりました。

この流れが本格化した現中2世代から、大学合格実績はさらに差が拡大するのは確実でしょう。相模原中等教育学校や南多摩中等教育学校は、東大合格者数が2ケタに近づくかもしれません。

一方で、穎明館中学校は、去年と今年を比較しただけで、首都圏模試の偏差値が4も下落しました。1年間でこれだけ下がるということは、中学受験生が大学合格実績の変動をシビアに見ながら選択している証拠です。

成績上位層の流出が止まらない穎明館中学校は、果たして6年後も難関国立大に1人でも合格者を出すことができるでしょうか。正念場です。

■多摩地区は10年間で私立優位から都立優位に変わった

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多摩地区の中学受験における最難関校はどこでしょうか。かつての桐朋中学校が中堅校にまで転落してしまった今、最難関と称される学校は、早稲田実業学校中等部と、都立武蔵高校附属中学校の2校です。

都立武蔵高校附属中学校の大学合格実績の躍進は目を見張るものがあり、中高一貫生120名の精鋭集団から、東大6名、京大2名、東工大4名、一橋大3名など高い実績を出しています。

昨年は東大に初めて2ケタの11名を出すなど、多摩地区で最も伸びている学校です。国際数学オリンピックでは、開成高校、筑波大附属駒場高校、灘高校の3校と並んで、都立武蔵高校の生徒がメダル受賞者を出したニュースをテレビや新聞でご覧になった方も多いのではないでしょうか。

かつてなら桐朋中学校に進学していた成績優秀層が、今や都立武蔵高校附属中学校に集中して入学するようになりました。時代が変われば、成績優秀層の入学先も変わるということです。

ちなみに、多摩地区の東大合格者数の首位は、高校募集しかない都立国立高校です。東大合格者数は例年20名前後で安定し、一橋大合格者数は日本一。

多摩地区は都立進学校の選択肢が非常に多くて、都立トップ校である都立西高校や日比谷高校への通学も高校生にもなれば容易なため、「わざわざ中学受験しなくても、高校受験で十分。」「中学受験で第一志望がダメなら、滑り止め中よりも高校受験。」という家庭が増えているのも近年の特徴です。

穎明館中学校や桐朋中学校に代表されるように元気がない多摩地区私学ですが、大学附属校は百花繚乱の大激戦地区です。国分寺に移転した早稲田実業学校を頂点として、明治大学や中央大学といった有名私立大の附属校が軒を連ねます。

もっとも、大学附属校は「中学受験よりも高校受験のほうがはるかに入学しやすい」(多摩地区進学塾談)というのは常識で、大学附属校にこだわるなら、わざわざ中学受験する必要もなさそうです。


■偏差値データを踏まえ7年後の大学合格実績を大予想

多摩地区の中学募集のある進学校の大学合格実績はどう変化していくのでしょうか。日能研、四谷大塚、SAPIX、首都圏模試の統計データを基に、各校の進路実績の特徴を踏まえ、現小学6年生が大学受験を迎えたイメージで数字を予想してみました。(※数字は浪人合格も込みで予想しています)


●都立武蔵高校附属中学校
東京大16名 一橋大8名 東京工業大8名 国立大110名

●相模原中等教育学校
東京大10名 一橋大4名 東京工業大10名 国立大80名

●南多摩中等教育学校
東京大8名 一橋大5名 東京工業大8名 国立大60名

○桐朋中学校
東京大1名 一橋大3名 東京工業大2名 国立大80名

○穎明館中学校
東京大0名 一橋大0名 東京工業大1名 国立大20名 


今後最も厳しいのは桐朋中学校で、大方の受験関係者の予想通り、まだまだ大学合格実績の凋落は続きそうです。今春の中学入試の入学者の東大合格者数がゼロだったことを踏まえると、東大合格者がゼロになるのも時間の問題かもしれません。

台風の目となりそうなのは都立武蔵高校附属中学校で、実績の伸長から、ここ数年ですっかり多摩地区最難関進学校の地位を確立しつつあります。区部の御三家中との併願も多く、優秀な生徒の入学が増えています。中学入試においては不動のナンバー1を確立しそう。

穎明館中学校は、偏差値の推移を踏まえると、難関国立大はかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。現実的には、MARCHに進学することが目標の学校というイメージでしょう。

穎明館中学校の緑豊かな環境は変わりませんから、偏差値が下がったことで、今まで入学できなかった層がたくさん入学できるようになります。その意味で、熱望組にとってはチャンスが広がったと捉えることもできますね。

当たり前ですが、学校の魅力は偏差値だけでは測れません。偏差値は学校選択の様々な尺度のうちの一つ。上述の通り、穎明館中学校の偏差値急落の真相は、近隣の競合中学校の躍進の煽りを受けたもので、穎明館中学校自体の魅力が落ちたというわけではないでしょう。熟考したうえで、中学受験するのかしないのか、第一志望をどこにするのか、第一志望がダメなら、滑り止め校でも入学するのか、そうでないのかを判断したいですね。



■桐朋高校の「東大1名ショック」が保護者や受験関係者に衝撃

「息子の中学受験を台無しで終わらせてしまった―」

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桐朋中学校の保護者が掲示板でそう嘆くほど、2017年の桐朋高校の大学進学実績の悪化は衝撃的でした。中学受験関係者とも話すたびにこの話になり、「予想はしていたけど、ここまで下がるとはね……」という反応です。

桐朋高校は、都立高校の学校群制度による凋落を追い風に大学進学実績を伸ばし続け、90年代の最盛期には東大に50名~60名を輩出し、三多摩で最高峰の進学校に君臨しました。

ところが、都立復権の動き、早稲田実業の国分寺移転、2度の自殺事件がネット上で明るみになるなど、桐朋高校にとって逆風が続きました。あっという間に、東大合格者数は8名と1ケタに、現役合格者数はたった1名だけになってしまったのです。


■東大合格者数よりもマズい早慶現役合格者数の激減


早稲田大学   現役29名 (全体に占める現役合格率37%)
慶應義塾大学   現役27名 (全体に占める現役合格率38%)

  ※サンデー毎日4月16日号より。この数字は大学の公式発表


大学合格実績を丹念に分析していくと、桐朋高校の凋落の深刻さが分かってきます。もはや東大に1名しか合格しておらず、しかもその1名は附属小学校出身者。中学入試出身180名はだれも合格していないわけですから、東大の合格実績を語っても、あまり意味のあることとは思えません。

現実的な目標大学は、早慶大や中堅国立大になるでしょう。すると、信じられないほど低い実績が露わになってしまいます。上記は2017年度の現役の早慶大の合格実績です。まるで中堅進学校かと疑うほどの実績です。

率直に言ってひどすぎます。皆さんご存知の通り、これは重複合格を含んでいて、実際には1人で早稲田大に2学部、3学部と合格していたりするわけです。推測するに、桐朋高校から現役で早慶大に届くのは、学年最上位層の15%程度でしょう。大部分の生徒たちには、早慶大ですら高嶺の花ということになります。

3年前の桐朋高校は、早稲田大学が現役79名、慶應義塾大が現役63名でした。3年間で半減。これが今の桐朋生の実力でしょう。


■浪人は桐朋の華? 国公立大現役進学者は過去最少、MARCHは堅調

1学年330名のうち、国公立大学に現役進学したのは66名で過去最少の人数です。桐朋高校の場合、「7年制」といった言葉に象徴されるように、例年学年の6割が浪人しますから、最多進路は浪人ということになります。現実的な現役での進学目標校といえるMARCH+理科大の合格実績の推移を2014年→2017年で見てみましょう。

東京理科大  41名→32名
明治大    48名→30名
青山学院大   8名→7名
立教大    11名→6名
中央大    26名→21名
法政大     9名→15名

2017年の現役合格総数は111名。MARCHは重複合格が多いことも踏まえると、桐朋高校からMARCHクラスに確実に進学するには、学年で30~40%には入っておきたいところです。



■桐朋中学校の偏差値の推移 凋落はこれから本格化する

確実に言えることは、今年の卒業生はまだまだ進学実績低下の序章の世代だということ。桐朋中学校の偏差値の推移を見れば一目瞭然です。

年度

偏差値

応募者数

2005

63

757

2006

61

674

2007

61

688

2008

60

657

2009

60

522

2010

57

499

2011

57

451 ※今春卒業

2012

57

449

2013

56

444

2014

54

390


桐朋高校はここから4年間は進学実績がさらに下がり、完全な中堅校としてのポジションになっていきます。これは私の予想というよりは、確実に起こる必然です。4年後には、日能研や四谷大塚で偏差値60以上の入学者がほぼ消え、偏差値40台の入学者が大勢いる世代になります。今年の実績のさらに半減は覚悟しなければなりません。

桐朋の教育力が落ちたわけではありません。ただ入学者の学力が大きく下がっただけ、ということです。


■進学実績は2022年まで続落し、やや持ち直した後にまた下落か

2022年頃までは、大学進学実績の低下が続いた後、2年間は多少持ち直す見込みです。理由は、この世代の入学時に、重い腰を上げた桐朋が複数回入試を開始したからです。

遅きに失した感は否めませんが、一応の凋落の歯止めにはなるでしょう。ただし、思ったよりも実際の入学者の偏差値は高くありません。ご存知の通り、入試偏差値と入学者偏差値は異なります。桐朋中学校の2日目入試は、合格した高偏差値層がことごとく辞退して、相当高い辞退率になっています。結果として、2日目入試の入学者の大半は、1日目入試の不合格者で、「それなら1日入試だけでも良かったのでは」との声もあります。

しかし、せっかく持ち直しても、現小6が受験する2018年度の中学入試では、今回の進学実績に対する失望から入学者偏差値が下がることは予想に難くありません。持ち直した後に、再び下降曲線を描くと予想されます。


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私は2010年当時の記事で「桐朋中学校の偏差値推移からすると、2016年には東大合格者数が1桁転落が濃厚だ」と書いています。予想よりも1年遅くですが、東大合格者数は1桁に転落しました。

今回は、現小5、小6が大学進学をする2025年頃の進学実績を予想してみます。

 東大 1名 京大 1名 東京工業大2名 一橋大3名 早稲田大60名 慶應義塾大20名

浪人込みでこれぐらいの進学実績を出せれば十分でしょう。東大こそ1名出すのがやっとの状況になるかもしれませんが、相変わらず地元の一橋大も複数名合格は出るでしょうし、早慶大は踏みとどまると予想します。この実績は、穎明館などの近隣競合校の数字も参考にしています。


■それでも、真の桐朋ファンは今の桐朋を望み、付いてくるのだ


「東大合格者数の減少を学校のせいにするな。桐朋らしさを失う改革は反対ー」

保護者の集まる掲示板では、現況の桐朋中学校・桐朋高校について熱い議論が交わされています。「特進クラスの設置を」「習熟度別授業の早期導入を」「高校入試の廃止を」「附属小学校の下位層を何とかして」「特待生の導入で成績優秀者の確保を」

数多くの改革案が飛び交う中で、「桐朋らしさ失う改革には反対だ。桐朋の人脈力を生かした桐朋らしい改革を」といった声も根強いのが桐朋の面白さ。

「6年間学校生活を思いっきり楽しんで、1年ぐらい回り道して浪人したって良いじゃない。附属小学校からの生徒や高校入試からの生徒が混じった多様な学力層も魅力の一つ。勉強ができなくても、何か得なコトがあれば輝くことができるのが桐朋です。」

こういうコアな桐朋ファンによって、今の桐朋中学校・桐朋高校が支えられているといっても過言ではありません。桐朋というのは、そういう寛容な保護者の子弟が通う学校でした。

ところが、2日目入試を導入して、第二志望、第三志望で残念ながら桐朋中学校へ進学するという層が流入するようになりました。こういう層は、一にも二にも大学進学を追い求めがちです。


最初に紹介した「息子の中学受験を台無しにしてしまった」という桐朋保護者の声も、実は2日目入試で第二志望校として桐朋に入学した層。桐朋中学校の入試改革によって、大学進学を追い求めたり、東大合格者数の減少を嘆くような、桐朋教育に合っていないとされる層が一定数入学するようになってしまいました。

しかし、真に桐朋教育の真髄を理解しているものなら、「なんだ、大学進学実績ぐらいで」と一笑に付すでしょう。そういう真の桐朋の理解者が、本来は入学するべき学校なのでしょう。

そして、たとえ東大合格者数がゼロになろうとも、桐朋教育のコアなファンは付いてくるでしょう。姉妹校の桐朋女子高校の独自教育も同様です。桐朋とはそういう学校だということです。

■賛否両論の自由すぎる卒業式 これが理解できてこそ桐朋ファン!?


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「桐朋の卒業式はコントですよ(笑)」

卒業生が誇らしげに語るのが、桐朋高校の卒業式。厳かな雰囲気とは対極的な雰囲気。桐朋生にとっての卒業式は自己主張をして笑いを取るコントを披露する場だといいます。

ツイッターには、桐朋高校の卒業式の武勇伝が勇ましく記録されています。その一例を見てみましょう。


このような自由すぎる卒業式には賛否両論のようで、「桐朋の自由な教育の象徴で素晴らしい!」と桐朋ファンを中心に賞賛する声もあれば、「無法地帯でやりすぎだ。」との声もあるようです。

動画の様子も数多くアップされていますが、壇上で裸になったり、ネギを掲げたり、退場のシーンでしゃぼん玉を飛ばしたり。その様子に歓声を上げる桐朋生たち。この映像を見たら、半数ぐらいの保護者は卒倒してしまい、「うちの子をこんな学校に預けたくない!」と思うでしょう。

私学なのですから、そういう方々は早々に桐朋を志望校から外せばいいわけです。こういう映像を見て、「自由で独創的な雰囲気が良い!」と思う人が、真の桐朋ファンなのでしょう。



 

■偏差値40台の生徒に大チャンス 真の桐朋賛同者が集まる状態に?


今回桐朋高校の"東大1名ショック"というのは、見方によってはポジティブにとらえることもできます。まずは、偏差値下位層や桐朋熱望組のチャンス拡大。大学進学を中途半端に重視する層は、今年の実績や今後の見通しに"失望"して消えるでしょうから、入試難易度は確実に下がります。桐朋教育は、偏差値40台の生徒たちにも十分魅力的。そういう層にとって選択肢が増えたことになります。

また、桐朋教育への賛同者が残る形となり、私学らしい純度の高い学校になるでしょう。今までのような大学進学を求める声は少なくなります。

今回の衝撃をネガティブにとらえるか、ポジティブにチャンス拡大ととらえるかはあなた次第。気になる人は、まずは学校に足を運んでみましょう。




■今なぜ、西高の教育が支持されるのか


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杉並区の閑静な住宅街にあるのが、都立西高校。通称、西高。

大学合格実績は、過去20年で最高の実績となり、長年都立高校を牽引してきた自負を感ずる結果であった。
 ・東京大学 32名

・京都大学 14名

・東京工業大学 13名

・一橋大学 14名

・国公立大学医学部医学科 23名

・旧帝大学(北大+東北大+名大+阪大+九州大)  23名

◎難関国立大学合計 119名

・早稲田大学 158名

・慶應義塾大学 110名

◎早慶大合計 268名

高校受験生と保護者のために、西高生の大まかな進路を説明しよう。最多進学先のベスト3は、1位:東京大学、2位:国公立医学部、3位:慶應義塾大学となっている。1学年の生徒数は約300名。うち約120名が上記の難関国立大学に進学。80名が、お茶の水女子大、東京外国語大といったその他国立大学に進学。300名中、200名が国立大学に進学する。

それ以外の約100名は、ほぼ早稲田大学と慶應義塾大学が占める。ほか、私立大学医学部への進学者も、全国の公立高校の中では最も多い。例えば、東京慈恵会医科大学には2名が進学。大学の公開する2016年度の出身高校一覧を見ると、桜蔭、開成、麻布、駒場東邦、ラサール、女子学院など、複数進学者を出した学校は西高以外すべて私立中高一貫校であった。

ちなみに、MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)の進学者数は、わずか4名にとどまる。中高一貫校と比べて、3年制の高校単独校は下位層が少なくなるようだ。

■東京芸大3名、京都大15名、北海道大12名からわかる西高の寛容さ


都立西高校は、懐が深い学校だ。進学校だから東大志向は強いが、決して特定の大学に誘導したりはしない。

その象徴が、京都大学15名進学だろう。当然彼らは、東大を目指せるだけの力があった生徒たち。それでも、「京都大学に行きたい」という生徒がいれば、それを受け入れ、応援する雰囲気がある。

西高の京都大学の進学者は、過去3年間でなんと47名。首都圏の高校の進学者数としては最大勢力だ。

東京都内だと、中学受験の御三家として知られる麻布高校も、京大進学者の多い学校だ(2016年は14名が進学)。西高と麻布の共通点は、懐が深い自由闊達な校風であること。あと、変人が多いというのもあるかもしれない(失礼)。ひょっとすると、京都大学の学風との共通性が高いのかもしれない。

「芸術界の東大」の異名がある東京芸術大学に3名合格するというのも、進学校としては異例中の異例だ。東京芸大といえば、合格は東大よりも難しいとされる超難関大学。

全国の進学校を調べたが、東大にこれだけ合格する一流進学校で、東京芸大に3名も進学者を出している学校は、西高のほか存在しなかった。

海外志向も強まっている。西高では毎年、海外大学への進学者を出している。アメリカなどのメジャーな国のみならず、ヨーロッパのチェコの大学の医学部へ進学した生徒もいたというから驚きだ。

考えても見てほしい。クラスメイトの中に、才気溢れる東大生がいる、あえて西へ旅立つ京大生がいる、医者の道を志した医学部生がいる、北の大地を目指した北大生がいる、芸術界の最高峰である芸大生がいる、海外へ飛び立った同士がいる。

こんなにもバラエティーに富んだ進学校が、いったい東京都内に、いや日本にあるだろうか。

西高という特異な校風が生んだ奇跡の進路。西高生は、あらゆる才知に恵まれた生涯の友を得るに違いない。

■西高は、気取らない。自然体で。


西高が好きだと公言する人は結構多い。それは、卒業生だからというわけではない。教育関係者や、我が子を通わす保護者までもが、気づけば西高ファンになっている。西高の、進学校なのに気取らず、自然体であることが、好感を呼ぶのだと思う。

入学式を終えた新入生を待ち受けるのは、怒濤の部活動勧誘。愛の泉から正門まで、熱烈な勧誘を受けるのだ。西高生活の、はじまり はじまり。

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ドーン!

入学すると同時に、机に置かれているのが、西高の攻略本、西高のすべてが詰まっているといっても過言ではない、『飛翔』とよばれる情報誌。

卒業していった高3生が、まだ見ぬ新入生のために作られたもので、40年以上も生徒たちによって自主制作されているものだ。そのページ数は、なんと300ページ。これを熟読すれば、西高の先生、西高用語などを裏情報まで知ることができる。西高生のバイブルといえる書物だ。

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■西高では、校長先生がダイブする


西高では、校長先生がダイブするらしい。

嘘のような、本当の話。

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写真は、記念祭の閉会式の一コマだ。 「西高は、運動会などの生徒会行事はすべて生徒たちが自分たちでするので、校長といえども生徒の言う通りにしなければならない。西高の伝統で、校長は壇上からダイブします。日本の校長先生で、壇上からダイブする校長は自分ぐらいでしょう。」と嬉しそうに話す宮本校長。

ちなみに、宮本校長は全国高等学校長協会という、日本全国の校長先生が集まる組織の会長をしている凄い方なのだ。そんな宮本校長が、ダイブするのだから、西高、恐るべし。

西高生活を彩る学校行事の数々。まずは、記念祭。この玄人好みのポスターの秀逸さ。

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記念祭での「つるばみ同好会」のライブ風景。

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「軽音楽部とつるばみって何が違うの?」

西高初心者が抱く疑問の一つ。軽音楽部が固定メンバーでバンドを組むのに対して、つるばみは固定バンドを組まず、曲ごとにバンドを結成する。

軽音とつるばみ、二つの組織が共存共栄しているのが興味深いところだ。こんなところにも、西高らしさが溢れ出る。あなたは軽音派?つるばみ派?

■浪漫倶楽部という存在 西高の象徴である非公式の地下組織


西高には、非公式の秘密組織が存在する。

冗談のように聞こえるかもしれないが、本当である。

その名も、浪漫倶楽部。

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組織の起源は、1970年代に柔道部のメンバーらが密かに結成したのが始まりといわれている。現・東大法学部教授の高原明生氏らが創設メンバーであったとされる。

社会風刺団体でもあり、電波少年的な体当たり企画や奇抜な企画を、映画上映などを通して世間に訴えている。

ワタナベエンターテインメント取締役の吉田雄生氏はインタビューで、「西高の浪漫倶楽部が、僕の転機だった」と話す。勉強ができるのは当たり前。エンターテイメント方面で輝こうと思った彼は、浪漫倶楽部での経験を基に、その後成功を収めている。

浪漫倶楽部への入部は、「東大合格よりも難しい」とウワサされる。気になる人は、記念祭の映画上映へ足を運ぼう。

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ちなみに、浪漫倶楽部のほかにも、秘密結社ベトリナという組織もある。「ベドリナ」とは、アルバニア語で「無駄」の意味。「青春とは、方向を間違えたエネルギーである」という理念のもと活動している。ただし、この組織は西高の公式サイトのサークル一覧に書かれており、完全な非公式組織ではない。

とはいえ、秘密結社のような不思議な団体が活動する西高っていったい……。

■文武二道を極める


西高の説明会へ行けば、必ず聞く言葉がある。

「文武二道」

文武両道とは言わない。二つの道を極める、という意味で、文武二道。

西高の運動部は強い。進学校であるのに、好成績を残している。アメリカンフットボール部を紹介したい。

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東日本における高校アメフトは、西高が発祥の地だ。

第二次世界大戦後に、当時の平山清太郎先生が創部したのがはじまり。チーム名は「OWLS」。知恵を象徴するフクロウがマスコットだ。以来、60年以上の歴史の中で、幾多の名選手や指導者を輩出してきた。中でも、京都大学のアメフト部への輩出数の多さは有名で、西高アメフト部→京大アメフト部の伝統が連綿と続いている。

今年、六大学野球で「都立西高校」の名がよく聞かれた。西高出身の桐生祥汰選手(東大経済学部)が、東大として23季ぶりにベストナインに選ばれたのだ。

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中学時代は武蔵府中シニアに所属。西高時代は1年夏よりセカンドレギュラー。 高3夏から1日10時間以上の猛勉強で、現役で東大合格した。西高が誇る文武二道の実践者だ。

■西高の新しい試み アメリカ研修


西高の良さは、伝統を受け継ぎつつも、新しい試みを柔軟に取り入れていく姿勢があるところだと思う。2年前から、海外リーダーシッププログラムを他校に先駆けて実施している。

希望者40人の西高生が、アメリカのハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の講義を体験したり、現地学生と交流したりディスカッションをする。また、ニューヨークで西高を卒業し現地で活躍する方々と交流したり、国連本部などを見学するという、壮大な体験だ。

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ハーバード大学で平和に関する講義を受ける西高生。

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西高には、アメリカ支部の同窓会組織がある。世界中に同窓会組織があり、同窓生が活躍しているのは心強い。写真は、ニューヨークでの同窓生との交流会。「私たちも、昔は西高生だった」。

■西高は、高校入学の生徒が気取らない学校生活を送る最後の進学校


都立西高校のぶれない教育が今、改めて評価されている。

周りの進学校が次々と中高一貫校化して、高校募集を減らしたり停止する中で、西高はずっと、高校受験生のための学校であり続けている。

仮に西高が中高一貫校になってしまったら、独自の校風は消え失せ、そこらへんにある普通の進学校と同じになり、均質化されてしまうだろう。西高の校風は、高校から始まる3年制であるからこそ続いているのだ。

西高の先生は語る。「西高の良さは、だれにでも居場所があることです。運動が得意な人、苦手な人、オタクな人、行事に熱心な人、自分の趣味に没頭する人、それぞれを尊重します。」

東京都内で、高校受験を経て入学する生徒たちが、変に気取らず、自然体で高校生活を送れる学校というのは、そう多くない。進学校に限定すれば、もはや都内には、西高ぐらいしか残されていないという事実に気付く。

かつては、西高のような学校が、もっとあった気がする。今は中高一貫校ブームで、西高が唯一の存在。最後の砦だ。

西高に異動した先生が「まだこのような学校が都内に残っていたとは。」と感動したという話を思い出した。西高の灯を消してはならぬ。西高はいつまでも、西高でいてほしい。周りのすべての進学校が中高一貫校になっても、西高だけは抗う存在であってほしい。




■2018年度の高校受験生が西高を選ぶべき理由


ところで、2018年度の高校受験生はかなりラッキーな世代だと言われている。というのも、2021年度の大学入試改革世代の1期生になるからだ。

大きな入試改革となるため、旧入試制度の最後の世代となる現高1生は浪人を嫌う。2021年度入試だけは、浪人生が消えて、現役生のチャンスが大幅に拡大することが確実と言われている。現中3生の世代は、東大や京大、一橋大、東京工業大といった難関国立大学に非常に合格しやすいということだ。

しかも、最終的に決定した2021年度の新大学入試は、「大学入試が都立トップ校の入試に近づいた」と言っても過言でないほど、西高生にとって有利になる。

〇国語と数学が記述式問題に
→大学入試問題が、西高の自校作成問題と同じ体裁になる。

〇英語は英検などの外部検定を活用
→西高受験生の多くが準2級や2級を取得しているため、従来型の勉強の継続で対応可能。

〇難関国立大学でも推薦入試が拡大
→先行実施している東大や京大の推薦入試は、文武両道型の名門公立高の合格が急増。
 西高のような海外研修や部活動での活躍が評価されて難関国立大に入る事例も拡大。
 西高の推薦入試も国立大学入試問題と類似している。


簡単に言えば、従来の選択問題オンリーだったセンター試験に代えて、西高の自校作成問題のような、数学は途中式を書かせたりする記述式問題に変わる。

また、西高の推薦入試と全く同じような推薦入試を、国立大学でも本格的に拡大する(あくまでも一般入試が中心であることは2020年も変わらないが)。

どう考えても、都立トップ校向けの勉強をしてきた生徒達にとっては追い風の改革だ。文部科学省の入試改革に携わる関係者に聞いても、「西高のような入試や教育をやっている学校は、2020年を境にかなり実績が伸びると思う。」と話す。

参考外部リンク:2018年度入試は大学附属校より都立進学校を選ぶべきなのか(高校研究より)

あちこちで「2018年受験の中3生の世代がうらやましい」という声が聞こえてくるが、もちろん追い風になるのは、西高のような、記述中心の入試問題と、アカデミックな教育を一貫して実施しているからこそ。これからが楽しみだ。

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