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■今なぜ、西高の教育が支持されるのか


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杉並区の閑静な住宅街にあるのが、都立西高校。通称、西高。

大学合格実績は、過去20年で最高の実績となり、長年都立高校を牽引してきた自負を感ずる結果であった。
 ・東京大学 32名

・京都大学 14名

・東京工業大学 13名

・一橋大学 14名

・国公立大学医学部医学科 23名

・旧帝大学(北大+東北大+名大+阪大+九州大)  23名

◎難関国立大学合計 119名

・早稲田大学 158名

・慶應義塾大学 110名

◎早慶大合計 268名

高校受験生と保護者のために、西高生の大まかな進路を説明しよう。最多進学先のベスト3は、1位:東京大学、2位:国公立医学部、3位:慶應義塾大学となっている。1学年の生徒数は約300名。うち約120名が上記の難関国立大学に進学。80名が、お茶の水女子大、東京外国語大といったその他国立大学に進学。300名中、200名が国立大学に進学する。

それ以外の約100名は、ほぼ早稲田大学と慶應義塾大学が占める。ほか、私立大学医学部への進学者も、全国の公立高校の中では最も多い。例えば、東京慈恵会医科大学には2名が進学。大学の公開する2016年度の出身高校一覧を見ると、桜蔭、開成、麻布、駒場東邦、ラサール、女子学院など、複数進学者を出した学校は西高以外すべて私立中高一貫校であった。

ちなみに、MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)の進学者数は、わずか4名にとどまる。中高一貫校と比べて、3年制の高校単独校は下位層が少なくなるようだ。

■東京芸大3名、京都大15名、北海道大12名からわかる西高の寛容さ


都立西高校は、懐が深い学校だ。進学校だから東大志向は強いが、決して特定の大学に誘導したりはしない。

その象徴が、京都大学15名進学だろう。当然彼らは、東大を目指せるだけの力があった生徒たち。それでも、「京都大学に行きたい」という生徒がいれば、それを受け入れ、応援する雰囲気がある。

西高の京都大学の進学者は、過去3年間でなんと47名。首都圏の高校の進学者数としては最大勢力だ。

東京都内だと、中学受験の御三家として知られる麻布高校も、京大進学者の多い学校だ(2016年は14名が進学)。西高と麻布の共通点は、懐が深い自由闊達な校風であること。あと、変人が多いというのもあるかもしれない(失礼)。ひょっとすると、京都大学の学風との共通性が高いのかもしれない。

「芸術界の東大」の異名がある東京芸術大学に3名合格するというのも、進学校としては異例中の異例だ。東京芸大といえば、合格は東大よりも難しいとされる超難関大学。

全国の進学校を調べたが、東大にこれだけ合格する一流進学校で、東京芸大に3名も進学者を出している学校は、西高のほか存在しなかった。

海外志向も強まっている。西高では毎年、海外大学への進学者を出している。アメリカなどのメジャーな国のみならず、ヨーロッパのチェコの大学の医学部へ進学した生徒もいたというから驚きだ。

考えても見てほしい。クラスメイトの中に、才気溢れる東大生がいる、あえて西へ旅立つ京大生がいる、医者の道を志した医学部生がいる、北の大地を目指した北大生がいる、芸術界の最高峰である芸大生がいる、海外へ飛び立った同士がいる。

こんなにもバラエティーに富んだ進学校が、いったい東京都内に、いや日本にあるだろうか。

西高という特異な校風が生んだ奇跡の進路。西高生は、あらゆる才知に恵まれた生涯の友を得るに違いない。

■西高は、気取らない。自然体で。


西高が好きだと公言する人は結構多い。それは、卒業生だからというわけではない。教育関係者や、我が子を通わす保護者までもが、気づけば西高ファンになっている。西高の、進学校なのに気取らず、自然体であることが、好感を呼ぶのだと思う。

入学式を終えた新入生を待ち受けるのは、怒濤の部活動勧誘。愛の泉から正門まで、熱烈な勧誘を受けるのだ。西高生活の、はじまり はじまり。

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ドーン!

入学すると同時に、机に置かれているのが、西高の攻略本、西高のすべてが詰まっているといっても過言ではない、『飛翔』とよばれる情報誌。

卒業していった高3生が、まだ見ぬ新入生のために作られたもので、40年以上も生徒たちによって自主制作されているものだ。そのページ数は、なんと300ページ。これを熟読すれば、西高の先生、西高用語などを裏情報まで知ることができる。西高生のバイブルといえる書物だ。

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■西高では、校長先生がダイブする


西高では、校長先生がダイブするらしい。

嘘のような、本当の話。

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写真は、記念祭の閉会式の一コマだ。 「西高は、運動会などの生徒会行事はすべて生徒たちが自分たちでするので、校長といえども生徒の言う通りにしなければならない。西高の伝統で、校長は壇上からダイブします。日本の校長先生で、壇上からダイブする校長は自分ぐらいでしょう。」と嬉しそうに話す宮本校長。

ちなみに、宮本校長は全国高等学校長協会という、日本全国の校長先生が集まる組織の会長をしている凄い方なのだ。そんな宮本校長が、ダイブするのだから、西高、恐るべし。

西高生活を彩る学校行事の数々。まずは、記念祭。この玄人好みのポスターの秀逸さ。

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記念祭での「つるばみ同好会」のライブ風景。

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「軽音楽部とつるばみって何が違うの?」

西高初心者が抱く疑問の一つ。軽音楽部が固定メンバーでバンドを組むのに対して、つるばみは固定バンドを組まず、曲ごとにバンドを結成する。

軽音とつるばみ、二つの組織が共存共栄しているのが興味深いところだ。こんなところにも、西高らしさが溢れ出る。あなたは軽音派?つるばみ派?

■浪漫倶楽部という存在 西高の象徴である非公式の地下組織


西高には、非公式の秘密組織が存在する。

冗談のように聞こえるかもしれないが、本当である。

その名も、浪漫倶楽部。

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組織の起源は、1970年代に柔道部のメンバーらが密かに結成したのが始まりといわれている。現・東大法学部教授の高原明生氏らが創設メンバーであったとされる。

社会風刺団体でもあり、電波少年的な体当たり企画や奇抜な企画を、映画上映などを通して世間に訴えている。

ワタナベエンターテインメント取締役の吉田雄生氏はインタビューで、「西高の浪漫倶楽部が、僕の転機だった」と話す。勉強ができるのは当たり前。エンターテイメント方面で輝こうと思った彼は、浪漫倶楽部での経験を基に、その後成功を収めている。

浪漫倶楽部への入部は、「東大合格よりも難しい」とウワサされる。気になる人は、記念祭の映画上映へ足を運ぼう。

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ちなみに、浪漫倶楽部のほかにも、秘密結社ベトリナという組織もある。「ベドリナ」とは、アルバニア語で「無駄」の意味。「青春とは、方向を間違えたエネルギーである」という理念のもと活動している。ただし、この組織は西高の公式サイトのサークル一覧に書かれており、完全な非公式組織ではない。

とはいえ、秘密結社のような不思議な団体が活動する西高っていったい……。

■文武二道を極める


西高の説明会へ行けば、必ず聞く言葉がある。

「文武二道」

文武両道とは言わない。二つの道を極める、という意味で、文武二道。

西高の運動部は強い。進学校であるのに、好成績を残している。アメリカンフットボール部を紹介したい。

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東日本における高校アメフトは、西高が発祥の地だ。

第二次世界大戦後に、当時の平山清太郎先生が創部したのがはじまり。チーム名は「OWLS」。知恵を象徴するフクロウがマスコットだ。以来、60年以上の歴史の中で、幾多の名選手や指導者を輩出してきた。中でも、京都大学のアメフト部への輩出数の多さは有名で、西高アメフト部→京大アメフト部の伝統が連綿と続いている。

今年、六大学野球で「都立西高校」の名がよく聞かれた。西高出身の桐生祥汰選手(東大経済学部)が、東大として23季ぶりにベストナインに選ばれたのだ。

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中学時代は武蔵府中シニアに所属。西高時代は1年夏よりセカンドレギュラー。 高3夏から1日10時間以上の猛勉強で、現役で東大合格した。西高が誇る文武二道の実践者だ。

■西高の新しい試み アメリカ研修


西高の良さは、伝統を受け継ぎつつも、新しい試みを柔軟に取り入れていく姿勢があるところだと思う。2年前から、海外リーダーシッププログラムを他校に先駆けて実施している。

希望者40人の西高生が、アメリカのハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の講義を体験したり、現地学生と交流したりディスカッションをする。また、ニューヨークで西高を卒業し現地で活躍する方々と交流したり、国連本部などを見学するという、壮大な体験だ。

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ハーバード大学で平和に関する講義を受ける西高生。

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西高には、アメリカ支部の同窓会組織がある。世界中に同窓会組織があり、同窓生が活躍しているのは心強い。写真は、ニューヨークでの同窓生との交流会。「私たちも、昔は西高生だった」。

■西高は、高校入学の生徒が気取らない学校生活を送る最後の進学校


都立西高校のぶれない教育が今、改めて評価されている。

周りの進学校が次々と中高一貫校化して、高校募集を減らしたり停止する中で、西高はずっと、高校受験生のための学校であり続けている。

仮に西高が中高一貫校になってしまったら、独自の校風は消え失せ、そこらへんにある普通の進学校と同じになり、均質化されてしまうだろう。西高の校風は、高校から始まる3年制であるからこそ続いているのだ。

西高の先生は語る。「西高の良さは、だれにでも居場所があることです。運動が得意な人、苦手な人、オタクな人、行事に熱心な人、自分の趣味に没頭する人、それぞれを尊重します。」

東京都内で、高校受験を経て入学する生徒たちが、変に気取らず、自然体で高校生活を送れる学校というのは、そう多くない。進学校に限定すれば、もはや都内には、西高ぐらいしか残されていないという事実に気付く。

かつては、西高のような学校が、もっとあった気がする。今は中高一貫校ブームで、西高が唯一の存在。最後の砦だ。

西高に異動した先生が「まだこのような学校が都内に残っていたとは。」と感動したという話を思い出した。西高の灯を消してはならぬ。西高はいつまでも、西高でいてほしい。周りのすべての進学校が中高一貫校になっても、西高だけは抗う存在であってほしい。


■2018年度の高校受験生が西高を選ぶべき理由


ところで、2018年度の高校受験生はかなりラッキーな世代だと言われている。というのも、2020年度の大学入試改革世代の1期生になるからだ。

大きな入試改革となるため、旧入試制度の最後の世代となる現高1生は浪人を嫌う。2020年度入試だけは、浪人生が消えて、現役生のチャンスが大幅に拡大することが確実と言われている。現中3生の世代は、東大や京大、一橋大、東京工業大といった難関国立大学に非常に合格しやすいということだ。

しかも、最終的に決定した2020年度の新大学入試は、「大学入試が都立トップ校の入試に近づいた」と言っても過言でないほど、西高生にとって有利になる。

〇国語と数学が記述式問題に
→大学入試問題が、西高の自校作成問題と同じ体裁になる。

〇英語は英検などの外部検定を活用
→西高受験生の多くが準2級や2級を取得しているため、従来型の勉強の継続で対応可能。

〇難関国立大学でも推薦入試が拡大
→先行実施している東大や京大の推薦入試は、文武両道型の名門公立高の合格が急増。
 西高のような海外研修や部活動での活躍が評価されて難関国立大に入る事例も拡大。
 西高の推薦入試も国立大学入試問題と類似している。


簡単に言えば、従来の選択問題オンリーだったセンター試験に代えて、西高の自校作成問題のような、数学は途中式を書かせたりする記述式問題に変わる。

また、西高の推薦入試と全く同じような推薦入試を、国立大学でも本格的に拡大する(あくまでも一般入試が中心であることは2020年も変わらないが)。

どう考えても、都立トップ校向けの勉強をしてきた生徒達にとっては追い風の改革だ。文部科学省の入試改革に携わる関係者に聞いても、「西高のような入試や教育をやっている学校は、2020年を境にかなり実績が伸びると思う。」と話す。

参考外部リンク:2018年度入試は大学附属校より都立進学校を選ぶべきなのか(高校研究より)

あちこちで「2018年受験の中3生の世代がうらやましい」という声が聞こえてくるが、もちろん追い風になるのは、西高のような、記述中心の入試問題と、アカデミックな教育を一貫して実施しているからこそ。これからが楽しみだ。

■横浜翠嵐高校が、あと数年で国内No.1の高校入試の東大合格輩出校に

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「3~4年以内に、横浜翠嵐高校が日本一の公立進学校になることが確実な情勢に―」

中高受験関係者の間では今、衝撃的なデータが広がっています。2017年度の高校入試において、神奈川県内の最優秀層がことごとく横浜翠嵐高校を進学先に選択。その結果、横浜翠嵐高校の学力レベルが急激に上昇して、あの高校入試の東大合格者数で日本一の日比谷高校に将来的に並びそうな勢いだというのです。

中高受験新報ではこれまでも、さまざまな高校の躍進や凋落の将来予測を、偏差値や入学者状況、関係者の情報、大手進学塾の動向などを総合的に分析していきました。これまでも、日比谷高校、多摩科学技術高校、桐朋高校、東京学芸大学附属高校といった進学校の躍進や凋落を初期段階より記事として取り上げ、全てを的中させてきたという自負があります。

かつて学区細分化の弊害によって凋落した神奈川県立高校は、いよいよ横浜翠嵐高校によって大々的復活を遂げようとしています。

■東京学芸大学附属高校を定員割れにした大量辞退者は横浜翠嵐へ


 「とんでもないことが起きています。学芸大附属の合格者がほとんど翠嵐や湘南に進学してしまいました。前代未聞ですよ。」


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ある大手進学塾の塾長の驚きが、2017年の高校入試の異変を物語っています。つい数年前まで、神奈川県の最優秀層の進学先は東京学芸大学附属高校であると相場が決まっていたからです。

情報新報では、県内の協力者に依頼して、湘南ゼミナール、ステップ、臨海セミナー、サピックス、早稲田アカデミーといった主要大手進学塾のチラシをすべて収集して、進学先と併願校を徹底的に分析。

その結果判明したことは、東京学芸大学附属高校の目を疑うほどの不人気ぶりです。県内の東京学芸大学附属高校の合格者の半数以上が辞退して他校へ進学しています。

そして進学先は横浜翠嵐高校と湘南高校の2校が突出しています。湘南高校は地理的要因から昔から合格辞退が多いのですが、2017年度はさらに増えて過去最多です。そして何よりも、横浜翠嵐高校への進学者が激増しています。昨年と比べて異常なほど増えています。

さらに驚くのは、厚木高校、川和高校、横浜サイエンスフロンティア高校といった県内2番手クラスの進学校ですら、東京学芸大学附属高校の合格辞退による入学者が複数名出ているという事実です。これらの学校は東大合格者数でいえば数名程度。それでも「学芸大附属よりは・・・」というのが受験生の選択だったのです。


■東京学芸大学附属高校を定員割れにした大量辞退者は横浜翠嵐へ


 「学芸大附属の入学者が定員割れになって、先生たちが呆然としているそうです。」


“過去の栄光”に対するプライドがあったのでしょう。東京学芸大学附属高校は、これだけイジメ問題や盗撮騒動、管理強化による生徒の反発が騒がれて、第一志望者が激減しているという情報があったにもかかわらず、合格者数をあまり増やしませんでした。

その結果、東京学芸大学附属高校は数十人単位の定員割れという、前代未聞の事態を起こしたのです。もちろん、辞退者の大半は、横浜翠嵐高校や湘南高校を選択しています。

ところが、合格者にインタビューすると、意外な声が。

「イジメ問題も理由ですが、もっと大きな理由がいくつかありました。」

その理由を、これからじっくり説明していきましょう。

■「高校はどこでも同じ」は一生後悔 3年間の環境で最難関大に

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(写真は横浜翠嵐高校の体育祭の様子)

ここで、2017年の最新の難関大学合格実績を見てみましょう。ただし、浪人を含む合格では学校の進学力は見えてきません。ここでは、学校の力がそのまま表れる現役合格者数で首都圏の最難関大を見てみます。


■横浜翠嵐高校

東大 21名  一橋大 11名  東京工業大 11名
早稲田大 119名  慶應義塾大 98名

■東京学芸大学附属高校

東大 24名  一橋大 6名  東京工業大 8名
早稲田大 73名  慶應義塾大 50名


確認しておきたいのは、この世代が高校入試の頃は、まだまだ「学芸大附属信仰」が神奈川に残っていて、最優秀層の多くは東京学芸大学附属高校に進学していたということです。

それにもかかわらず、3年後の合格状況では、横浜翠嵐高校と東京学芸大学附属高校はほぼ遜色がありません。東京大学は、かろうじて東京学芸大学附属高校が3名上回っていますが、それ以外のすべての最難関大は横浜翠嵐高校が上回っています。

東大+一橋大+東京工業大の都内最難関国立3大の現役合格者数は、横浜翠嵐高校が43名、東京学芸大学附属高校が38名です。もはや難関国立大学の現役合格数では、東京学芸大学附属高校は現時点ですら、横浜翠嵐高校に敵わなくなりました。

「かつて、優秀な生徒はどこの高校へ進学しても結果は同じだと言われてきました。ところが、中高一貫校の隆盛でその状況は変わりました。高校入試から最難関大学へ進学するには、3年間で中高一貫校に追いつかなければなりません。中高一貫生に打ち勝つノウハウや環境のある学校とそうでない学校の差は大きく広がっています。」(予備校講師談)

横浜翠嵐高校は、高校3年間で難関中高一貫校に遜色のない結果を出すためにノウハウを蓄積してきました。こうした環境のある学校とそうでない学校では、確実に差がつくということです。

この合格実績は、学芸大学附属高校にまだ優秀な生徒が進学していた時代のもの。今年度の世代は、最優秀層が横浜翠嵐高校を選択しました。3年後の大学合格状況はどうなっているかは、皆さんが想像する通りです。

■翠嵐は日本に3校しかない“内進生がいないトップ進学校”


「内進生のいる環境よりも、全員一斉スタートの学校生活を好む中学生が増えている」

そんな声が受験関係者から多く聞かれます。東京学芸大学附属高校のいじめ事件が外進生を標的にした内進生によるものだったことも、この傾向に拍車をかけているのかもしれません。

スマホの発達によって、中学生が説明会では得られない学校のありのままの情報を知ることができるようになりました。近年はどの国私立高校も中高一貫教育を強化する一方で、高校入学の生徒をないがしろにする傾向にあり、「学校のカリキュラムが内進生中心になっていて辛い」「部活動や行事が内進生主導になっている」といった、中高一貫校への途中入学の弊害の声が多く聞かれるようになりました。

横浜翠嵐高校は、中高一貫校ではない、全員一斉に高校生活がスタートする貴重な進学校です。東大合格者数の高校ランキングで20位以内に入る中高一貫校ではない共学校は、横浜翠嵐高校をのぞけば、「高校入試東大合格日本一」で有名な日比谷高校(東京都)、旭丘高校(愛知県)の2校しかありません。

横浜翠嵐高校のように、内進生の存在を気にすることなく、1年次から部活動や行事、生徒会活動をどんどん主導することができて、共学校なのでときに恋愛もできる、学費が無償で東大を本気で目指せる進学校というのは日本には3校しかないのです。



■東京都内では、すでに日比谷高校が学芸大学附属を逆転している

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(写真は都立日比谷高校。高校入試の東大合格者数は開成を抜いて日本一。)

ところで、「神奈川県の高校入試は、東京都を後追いしている」とよく言われます。つまり、東京都の状況を見れば、神奈川県の高校状況が3-4年後にどうなるかの予想ができるというものです。

東京都内では、今でこそ「東京学芸大学附属高校は都立日比谷高校の併願校」という認識が強いですが、数年前までは、まだまだ東京学芸大学附属高校のほうが力が強い時代がありました。2014年と2017年の東京大学の現役合格者数の推移を比較してみましょう。

 都立日比谷高校      東大 20名 → 33名
 東京学芸大学附属高校    東大 32名 → 24名

2017年は、ついに東京学芸大学附属高校の共学首位の座が陥落し、都立日比谷高校が共学No.1の座を奪還しました。都立日比谷高校と横浜翠嵐高校はまったく同じポジションです。この波がいよいよ神奈川にも押し寄せてきました。



■横浜翠嵐は東大50名オーバーへ 学芸大附属は30名も厳しい情勢

かつて東大に60名合格させていた桐朋高校が、生徒のいじめ自殺問題によって志願者が急落。「将来的には東大1ケタに転落する」と6年前に当記事で予測しましたが、2017年は東大現役合格者数がたった1名という崩壊的実績に。当記事の予想を上回るペースで凋落しています。

このように、大学合格実績は不祥事の影響を直撃し、一般の人々が想定する以上に下がります。そして、一度下がると再起不能な状態になってしまいます。今回の一件で、「東京学芸大学附属高校よりも横浜翠嵐高校」という序列が確定してしまった今、3年後の高校情勢を予想するのは困難ではありません。

横浜翠嵐高校に最難関大志向の生徒が集中した結果、東大合格者数は40名~50名オーバーも視野入ってくるでしょう。いよいよ日比谷高校と並び、全国の高校ランキングベスト10にランクインし、名実ともに国内指折りの超進学校になります。

東京学芸大学附属高校と横浜翠嵐高校の力関係の変化のみに注目しましたが、サピックスや早稲田アカデミーといった大手進学塾では開成高校の合格辞退による横浜翠嵐高校への進学者も増えていて、もはや横浜翠嵐高校は、東大志望層にとっての最優先進学先になっています。

東京学芸大学附属高校は、47年ぶりに東大合格者数が50名台を割ってしまいました。今年の世代は、まだまだ優秀な生徒が入学していた頃だったにもかかわらずです。今後2年間は50名前後をかろうじて維持できたとしても、大幅な定員割れとなった世代が卒業する3年後は、歴史的大凋落は免れません。東大合格者数は40名台を確実に割って、4年後には30名の維持も難しくなってくるでしょう。

4年後の東大合格者数が「翠嵐50名、学芸大附属25名」となったとき、高校受験では第二の波が起きるでしょう。中学受験にも波及しそうです。いずれにせよ、2018年受験は、こうした確実に起こる将来予測を踏まえた学校選択が必須となります。

■大手進学塾で変化も 信頼できる塾か否かを見極めるポイント

「入試説明会ではっきりと『学芸大附属はご存じのとおり、週刊誌報道などの影響もあって人気が下がり、合格者の約半数は翠嵐などへ進学しました。進学実績は近い将来、翠嵐と逆転する可能性が高まっています』との説明があり驚きました。正直に情報を明かして信頼できる塾だと思いました。」

神奈川県内のある大手進学塾では、説明会でしっかりと学芸大学附属高校の諸問題や人気低下についても触れられたといいます。いじめ問題の報道が大きかった点、翠嵐への進学者が急増した点、学芸大附属の入学者が定員割れを起こした点、3年後の進学実績の影響が確実な点がありのままに説明されたといいます。

「保護者も生徒たちも全員知っている情報なので、逆に説明がないと不信感を持つところでした。しっかりと説明があったので、周りの保護者からも好評でした。」今後、進学塾での進路相談や進学塾主催の高校説明会が多く開催されるでしょうが、この大手進学塾のように、ありのままの現況をしっかりと説明してくれる塾なのか、情報が隠されてしまう塾なのかは見極めが必要でしょう。いまだにこの変化を知らずに、積極的に学芸大学附属高校を進学先に勧めている塾があれば、最新の受験情報に無知であるか、上からの圧力によって情報統制されていると考えたほうが良いでしょう。

「進学先として学芸大学附属高校はもはや勧められなくなってしまったが、受験先としては、来年度も勧めるつもりでいる。というのも、学芸大学附属高校のようなハイレベルな入試問題で鍛えることは、将来の東大受験にもつながってくる。今後は、言い方は悪いが学芸大附属は踏み台のような存在になって、翠嵐、東大というルートを目指すのが最優秀層の標準になりそう。」(県内大手塾長談)

高校合格はあくまでも通過点。その意味では、東京学芸大学附属高校を受験する意義は今でもあると語る塾長も多くいました。来年度以降もそのような流れが加速するかもしれません。

■2018年度の高校受験生は迷わず進学校を目指せ
知っている人だけが知っている。この学年は国立大への入学が穴場だということを―


2018年度の高校入試は、新しい大学入試制度への不安から、附属校志向が高まりそうです。

そんな情報があちこちで聞こえてきます。ご存じの通り、現中3生が大学入試を迎える2020年度より、従来のセンター試験が廃止され、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)に変わるなど、大きな変革を迎えます。現中3生は将来、その入試に初めて臨むことになるのです。

「入試改革は不安を煽りますからね。早慶大やMARCHなどの有名大の附属校は確実に人気を集めますよ。」受験業界関係者は一様にそう話します。ただし、最後にこう付け加えたうえで。

まあ、自分が高校受験生だったら、この年は絶対に附属校よりも進学校を選びますがね。

受験業界関係者だけは、真実を知っているのです。この2018年度高校入試世代が、いかに進学校を選ぶ


現中3生の高校受験生は、30年に一度しか到来しない夢の世代ですから。


■浪人激減で現役受かり放題になる2020年入試

なぜ、現中3生は"夢の世代"なのでしょうか。それは、大学入試改革の初年度に起こる共通の出来事が関係しています。

「浪人生の激減です。大学入試制度の改革があると、旧入試を受けていた世代が、新入試を不安がって極端に浪人する生徒が減るのです。共通一次廃止や新課程移行など、何らかの変化がある度ににこの現象が起きています。」(教育関係者談)

確かに、今まで旧入試向けの勉強をしていた生徒が、浪人して新入試向けの勉強を始めるというのは、かなり不安なこと。入試の歴史を振り返ると、1990年のセンター試験導入時や、2015年の新課程移行のときは、浪人生が減って、その分は現役生の合格が増えています。

分かりやすいのが2015年度の大学入試でしょう。前年までが、いわゆる「ゆとり教育時代の旧課程入試」で、2015年度からが、「脱ゆとりの新課程入試」でした。

事前に多くの塾・予備校、学校までもが「この年に浪人するのは危険だ」と煽ります。




「現行の出題範囲のセンター試験も今回が最後です。来年からは出題範囲が広がって負担が増える。1年だけ経過措置があるんですが、今の高3生が浪人すると、ライバルは勉強量の多い脱ゆとり世代です。高3生にとっては、志望校に挑戦するか、ランクを下げて確実に受かる大学にするか思案のしどころ。生徒には、本当に行きたい大学に行ってほしいのですが」

 都内の中高一貫校の教諭がそう漏らすように、いわば「現役の壁」が、高3生や親、高校関係者を悩ませている。受験雑誌も、「15年度入試は数学・理科が新課程対応の出題に変わる! 現行課程最後の14年度入試で、“現役合格”をめざそう!」とあおる。

  (AERA 2014年1月14日「浪人できない高3の冬」より引用) 


その結果、2014年度入試では国立大を目指して浪人する生徒が激減。翌年の2015年度は、浪人が少ない中で、現役生に大きく有利の入試になったのです。

論より証拠。例えばこの年、東京大学の入学者に占める現役比率は全体で3%も上昇。定員を基に単純に計算すると、本来浪人生が合格していたであろう100名の枠が空いて、その分、現役生が合格したことになります。

冷静に考えていただきたいのですが、この変化は微小な変化です。それにもかかわらず、これだけ塾や予備校、学校が変化にヒステリックになり、煽られた受験生は浪人を諦めたのです。

2020年度入試の変化は、2015年度よりもはるかに大きな変化です。すでに現高1生に対しては、「絶対に浪人するなよ。たとえ不本意な結果でも、2019年度入試で入学しないと大変だぞ」という煽りのオンパレードです。

間違いなく、現高1世代の浪人は激減します。例えば、東京大学の浪人合格者は例年全体の35%。定員数でいえば1050人ほど。もしも浪人生がこの年だけ3分の2に減ったら、350人分もの合格が現役生に回されます。翌年からは元に戻るでしょうから、得をするのは、現中3生の世代だけ。

東大だけでなく、有名大学はどこも、一定の浪人生が存在しますから、その層が減れば減るほど、現役生が受かりやすくなります。

現中3生は、国立大学にかつてないほど入りやすい世代になるということです。


■この世代だけ、優秀な中学受験生は附属に集中

もしもあなたが、東京大学、京都大学、東京工業大学、一橋大学、国公立医学部といった難関国立大学を目指すのであれば、最大のライバルは中高一貫校に通う生徒たちになるはずです。

ところが、あちこちから聞こえてくるのは、「どこの進学校も谷間の世代だ。優秀な子が他の世代よりも少ないよ。」という進学校の先生の話。

それもそのはず。例の"入試改革ヒステリック現象"は中学受験でも巻き起こり、2014年度や2015年度ぐらいから、中学入試でも附属校志向が高まったのです。

「従来なら進学校から東大に進学していたような生徒が、この年は安全を期して慶應義塾中等部などに進学しています。逆に早慶附属は優秀な世代が集まっていますね。」(中学受験関係者談)

つまり、2020年度の大学入試を迎える予定の現中3生は、ライバルである浪人生や中高一貫生が目に見えて少ないということ。この年ほど、高校受験経由で難関国立大学にチャレンジしやすい年度はないでしょう。この現象は現在でも継続していて、しばらくの間、中学受験では、優秀な生徒の附属校志向が続きそうです。


■そして、思ったほど変わらなそうな大学入試制度

さて、肝心なことは、結局、2020年度の大学入試制度はどう変わるのか、ということです。

多くの関係者が口を揃えて言うのは、「思ったほど、変わらなそうだ。」ということ。

当初の改革案では、理想論ばかりが先行して伝えられ、高校在学中に複数回のテスト受験を可能にするといった案が出たり、かなりの量の記述問題が出題されるという案が出ていました。

ところが、「そんな制度では高校の行事活動が成り立たなくなる」「そんな膨大な記述問題を大学で採点しきれない」といった異論が噴出。結局、紆余曲折を経て、かなり現実的な案に集約されました。 

・大学入試改革、複数回テスト見送り
・記述問題は国語を基本に80字以内の短文形式へ

拍子抜けするような現実的案です。確かに、記述問題は増えるのですが、そもそも、国立大学を目指している生徒たちは、2次試験で記述問題が出題されるので、従来からそれ向けの対策をしっかりやってきました。つまり、従来の勉強から大幅に転換が必要というわけではなく、従来型の勉強で十分対応できるということです。

もちろん、これらを踏まえて、2025年、2030年と調整や改革が続くでしょう。そのころには、どのような入試制度になっているかは分かりません。ただ一つ言えることは、現中3生が初めて受ける新大学入試は、そんなに変わらないということ。従来の入試制度の合格者の9割は、新入試でも合格できるでしょう。



■若干、公立高校生に有利になる2020年度入試

もう一つの動きがあります。一般入試ではない、AO入試や推薦入試による合格比率を増やそうとしているという動きです。

これに関しては、東京大学が先行して2020年型の推薦入試を導入しています。この合格者の出身高校を分析すると、2020年度以降の入試がどうなるか

・男女共学校に有利であり、別学校に不利であること
・公立高校に有利であること

東大は、男女共学校に有利になるように、推薦入試合格者数を、別学校は1名、共学校は2名に設定しています。東大がこのようなシステムにしていて、男女の比率の偏りを是正する動きが加速している以上、この流れに追随する大学が多いでしょう。都内の別学系進学校は不利になります。

また、推薦入試は明らかに一般入試よりも公立高校からの合格者数の比率が増えています。幅広く全国の公立高校から優秀な生徒を集めたいということでしょう。

公立高校の生徒にとって、大幅に有利になると言うつもりはありません。ただ、若干ではありますが、東大型の推薦入試の拡大は、公立高校生にとって有利に働きます。


■夢の世代に生まれた幸運 チャンスを生かす選択を

以上のように、さまざまな観点から、2018年度の高校受験生が進学校を選択するメリットを説明してきました。実はこの情報、一部の大手進学塾では、保護者や生徒に伝えられているとのことでした。大手塾であっても、いたずらに「附属校のほうが安全だ」という根拠なき情報を流さずに、冷静な分析をして情報を伝えるところもあるのです。

もちろん実際には、大学附属校を選んだ方が良いケースもありますから、進学校に固執するのも問題です。進学校と大学附属校、それぞれのメリットとデメリットを考慮しつつ、この世代が大学入試時に受ける恩恵も踏まえて、各家庭で結論を出せばいいのです。

日比谷高校や横浜翠嵐高校といった躍進の続く公立高校にとっては、追い風の状況。2020年度入試でどこまで実績を伸ばすのかも注目したいところです。

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